大方洋二の魚って不思議!

写真を通して魚類の生態や海について考える

#生物学

スミレナガハナダイの体色 

ハタ科のスミレナガハナダイは、全長約10cmになる。駿河湾以南の中・西部太平洋に分布している。主な生息場所は、サンゴ礁外縁の断崖付近。オスは赤紫色で、体側に四角い形をした淡い模様がある。メスは明るいオレンジ色で、目の下に紫色の線がある。オスは…

最近の海関連テレビ

7/30 Eテレ「地球ドラマチック」は、ガラパゴスが舞台。海洋学者一家がガラパゴスに滞在し、自然や生きものに接しながら保護の重要性を伝えるドキュメンタリー。最近深刻なのが海洋プラスチックで、有害物質を吸着する性質があるため、その調査チームに同行…

サンゴ白化の原因はストレス!? 

このところ毎年のようにサンゴの白化現象のニュースが流れるので、高水温が続くとサンゴが白化する、というのは一般の方にも知れ渡ったようだ。これとは逆に低水温でも白化することが2017年に判明した。和歌山県田辺市で、環境省が地元ダイバーの協力を得て…

マダラエイについて 

アカエイ科のマダラエイは、紀伊半島以南の太平洋、インド洋に分布している。体盤幅(たいばんはば)は約2mに達する。通常魚の大きさは、吻の先端から尾ビレの先までの全長だが、エイ類の場合は、背中側から見て両胸ビレの最も幅が広いところを測る、体盤幅…

沖縄の想い出(地上編)

今年は沖縄が本土復帰して50年ということで、沖縄関連のテレビ番組が多い。それに感化されたので、沖縄を取り上げたい。沖縄へは150回くらい行っているが、ほとんどはダイビング&水中撮影が目的。そのため通常の見物・見学はあまりしていないが…。 2002年10…

暑中お見舞い

暑い日が続いている。昔は風鈴の音で涼をとったものだが、今ではそんなことではごまかせなくなった。日本より北に位置するヨーロッパでも猛暑が続き、死者も出ているというニュースを見ると、やはり地球はおかしくなっていることが理解できる。 地球がおかし…

濁りを味方に

水中撮影で、水の濁りは大敵。ちょっと離れただけでも鮮明に撮れない。そこでどうしてもマクロレンズでの近接撮影になるが、あまりにも当たり前すぎ。濁りを逆手にとることも必要。濁りの原因は、季節的なものや大雨、潮の満ち引きなどで、緑っぽくなること…

ガラスハゼの生態

ハゼ科のガラスハゼは全長約3cmで、房総半島以南の太平洋、インド洋に分布している。住みかは刺胞動物のムチカラマツで、生涯そこで過ごす。ムチカラマツとは直径約1cm、長さ2~3mある1本の枝状で、海底から上方に伸びている、表面には触手が密集し、プラン…

7月の海番組 

夏になると、テレビでの海番組が多くなる。そこで今月に入ってから放送された、海の番組で印象に残ったものを取り上げる。 日本テレビ『所さんの目がテン!』は、7/10(日)と7/17の2週にわたって沖縄・奄美を放送した。奄美は海と森だが、海は南部の代表的…

キツネウオ幼魚騒動記 

1980年代中ごろ、水中撮影に適したマクロレンズが発売されたお陰で、小さな生きものが注目され始めた。それに伴い、幼魚好きダイバーが増え、珍しい幼魚を撮ってはダイビング誌に投稿するようになった。そうして評判になったのが、イトヨリダイ科キツネウオ…

めったに出会えないハナダイ

ダイビングでよく目にするキンギョハナダイは、ハタ科ハナダイ亜科ナガハナダイ属。一般的に「ハナダイ(類)」といえば、ハナダイ亜科の総称になる。ちなみにナガハナダイ属は世界に64種、日本に22種分布している。ここではあまり出会えないハナダイ類を取…

共生ハゼ・エビ 2ぺア 

ハゼ科の中には、テッポウエビ類と共生する種もいる。そうしたハゼは「共生ハゼ」、テッポウエビは「共生エビ」という。前者は日本に約70種、後者は17種確認されている。共生ハゼを撮影する際、その生態的特徴からテッポウエビも一緒に写すことを心掛けてい…

ブダイについて 

ブダイ科ブダイの分布は、房総半島以南~奄美大島、朝鮮半島南部、台湾となっている。以前は、沖縄や太平洋・インド洋も含まれていたが、現在は前述のように訂正されている。とはいえ、奄美では見た覚えがないし、『奄美群島の魚類図鑑』(南日本新聞開発セ…

バリエーション豊か ホシゴンべ 

ゴンべ科のホシゴンべは、伊豆半島以南の太平洋、インド洋に分布している。全長約25cmになるようだが、見られるのは20cm以下がほとんど。また、成魚は主にサンゴ礁域に生息する。体色・斑紋はこの写真の個体が最も一般的で、顔に褐色の点が無数にあることが…

キイロサンゴハゼについて

ハゼ科コバンハゼ属のキイロサンゴハゼは、和歌山県以南の太平洋、インド洋に分布している。全長約3.5cmで、体色は全身黄色。頬のあたりが白っぽい個体が多い。 サンゴに住むキイロサンゴハゼ(奄美) 新種記載されたのは1972年で、沖縄で採集された標本が基…

ミゾレウツボ(?)の謎 

今回はミゾレウツボ(?)について考察したい。1985年11月、座間味島で黄色味が強いウツボを見つけて撮影した。図鑑で調べたら、ミゾレウツボが最も近かった。しかし、図鑑は標本写真なので、色合いが異なり、確信が持てないでいた。 ミゾレウツボと思われるウ…

ハナグロチョウの生態 

チョウチョウウオ科のハナグロチョウチョウウオは、全長約20cmに達する。和歌山県以南の太平洋、インド洋に分布しているが、日本で成魚が見られるのは琉球列島。体側にオレンジ色の縞模様が斜めに入っているのが特徴で、主にサンゴのポリプをエサにしている…

意外に行動的・コバンザメ 

コバンザメは頭部にある吸盤で大きな魚などにつき、楽をしているイメージが強い。実際にマンタなどについたコバンザメを見ると結構動いているが、こうした事実はあまり知られていない。 ニューギニア島インドネシア領のチェンデラワシ湾で、コバンザメがつい…

魚が目を守る賢い方法 

動物にとって目は大切な感覚器官。哺乳類のほとんどは手があるため、危険を察知すれば目を覆うことができる。ところが魚は、目はむき出し、いざというときの手もない。そんな理由からだろう。魚の多くは模様で目を隠すという方法を選んだ。最も多いのは目に…

ロクセンスズメダイの生態 

スズメダイ科のロクセンスズメダイは全長約15cmで、伊豆半島以南の西部太平洋、インド洋、紅海に分布している。雑食性で、プランクトンや藻類を食べる。オヤビッチャに似ているが、背中が黄色くないうえ、尾ビレの上下に黒帯があるので区別できる。生息場所…

愛でタイ

古来、日本人に最も親しまれている魚は、マダイだろう。お祝いやお祭りには必ず尾頭付きが飾られる。「めでたい」という語呂合わせだけではなく、体型や色合い、味もよいことが人気の理由で、魚の王様と形容されることも多い。マダイはタイ科マダイ属で、同…

ネオンテンジクダイについて

テンジクダイ科のネオンテンジクダイは、奄美大島以南の西部太平洋に分布し、主に穏やかな内湾に生息している。全長約4cmで体は透明感があり、吻から尾柄部にかけて黒線がある。そして尾柄部の赤い斑紋が最大の特徴。 ネオンテンジクダイ(奄美 `06年) 本種…

遠い海の近似種

日本の温帯域に生息する魚を、遠く離れた海外で出会うとなぜかうれしくなる。また、酷似しているが別種という魚にも出会う。きっとルーツは同じで、どのような経緯で別々になったのか興味が尽きない。今回はそのような魚を集めてみた。 オーストラリアのロー…

クロスズメダイ 未知の生態

スズメダイ科のクロスズメダイは、奄美大島以南の西部太平洋、インド洋に分布する。全長約17cmになり、和名のとおり体色は黒い。正確にいうと、青味ががかった黒だ。やや内湾性で比較的浅いところに生息し、ウミキノコ類のソフトコーラルの近くにいることが…

キヘリモンガラについて

モンガラカワハギ科のキヘリモンガラは全長約60cmに達する。相模湾以南の太平洋、インド洋に分布している。成魚は主にサンゴ礁域に生息し、温帯域で見られるのは幼魚がほとんど。また、60cmの大型個体はなかなか見られない。通常出会うのは40cm前後。 キヘリ…

活動的で繊細なヒレオビウツボ

ウツボ科のヒレオビウツボは全長約50cmになり、高知県以南の太平洋、インド洋に分布している。新種記載されたのは1903年だが、日本では1990年代になって生息が確認されて和名が付いた。体色は紫がかった薄茶色で、体側には暗色の斑紋が入り、目の近くに白く…

アカヒメジの不思議

ヒメジ科は日本に25種分布している。同科の最大の特徴は、下アゴに2本のヒゲがあること。このヒゲを手のように使い、海底に潜むエサを探すことができる。ところが、アカヒメジだけはヒゲを使うところは見られない。アカヒメジの分布は房総半島以南の太平洋、…

好奇心旺盛  ニジハタ

ハタ科のニジハタは全長約25cmの小型種。相模湾以南の太平洋に分布しているが、成魚が普通に見られるのは奄美諸島以南で、主な生息場所はサンゴ礁。体色は赤で、後部は焦げ茶色をしている。尾ビレに白い線が2本あることが最大の特徴。この白線が「二」に見え…

謎多きウミテング

奇妙な姿をした魚は結構多い。ウミテング科のウミテングもその一つ。大きさは約8cmで、相模湾以南の太平洋、インド洋に分布し、主な生息場所は砂底。移動するときは胸ビレを広げ、細長い腹ビレを使って海底を這うように進む。最初に出会ったのは座間味島だっ…

改めてミノアンコウ

3月に開催した「海で逢いたい」東京展で、空いたスペースに過去に展示したパネルを飾った、ということは述べた。その中にミノアンコウもあり、かなり反響があったので、改めて説明をしたい。 ミノアンコウ。「海で逢いたい」に飾ったものと同じ写真(83年8月…