大方洋二の魚って不思議!

写真を通して魚類の生態や海について考える

2020-01-01から1年間の記事一覧

2020年を振り返る(下半期)

3月中旬にNHKBS「ワイルドライフ」で奄美ロケをしたいと相談があった。魚類の繁殖がテーマということなので時期は6月、そして撮影できる魚類を伝えた。ところが、緊急事態宣言が出て延期。結局7月になった。ベラ類は昼間、夕方はキンチャクダイ類やハコフグ…

2020年を振り返る(上半期)

2020年も残すところあとわずか。ということで、今年を振り返ってみたい。今年は、新型コロナウィルスに世界中が翻弄された1年といっていい。しかし、3月中旬くらいまでは「よそごと」というイメージで、催しも注意しながら行ったようだ。ダイビングフェステ…

2021年のカレンダー

今年は諸事情により、カレンダーを作る企業は減少したようだ。海関連のカレンダーは2か所からのみ。一つ目は写真展「海で逢いたい」のメンバー有志6名で作っている「ときめきの海」。 有志6名の「ときめきの海」 6枚綴りで、ワイド写真とマクロ写真が半々。…

隅田川ナイトクルーズ

隅田川に架かる橋は、オリンピックの予算でちゃっかりライトアップされた。また、長期間工事中だった水上バスの両国発着所は、ホテルやレストランを有する複合施設になり、両国リバーセンターとして今夏生まれ変わった。船から橋を見たいと思っていたので、…

宮崎美子さんのこと

今朝のNHK「あさイチ」のゲストは宮崎美子さんだった。宮崎さんといえば、デビュー40周年記念で発売した、篠山紀信撮影のカレンダーで話題になっている。 あさイチに出演中の宮崎美子さんと、評判のカレンダー 実は、宮崎さんとは24年前に仕事を一緒にしてい…

イロブダイの成長過程

魚の世界では、成長と共に体色・斑紋が変化することは珍しくない。さらにメスからオスに性転換する種もいるため、とても複雑になる。ここではイロブダイの成長過程を見てみよう。全長約5cmの幼魚は体が白で、顔がオレンジ色。成長に伴ってオレンジは茶色にな…

キンセンハゼの分布

ハゼ科のキンセンハゼは約5cmと小さい。現在の分布は奄美大島以南の西部太平洋、インド洋になる。最初に見たのは座間味島で、80年中ごろだった。サンゴ礁の岩陰でホバリングしていて、近寄ると遠ざかる。和名の由来となった体側の黄色の線が特徴で、他にも長…

ピンク色の魚

魚の体色はさまざまだが、赤っぽいものも多い。水深3mくらいから赤色系は吸収されてしまうため、赤は茶色っぽくなり、30mくらいでは焦げ茶色に見えてしまう。にもかかわらず、赤色系の魚が多いのはどうしてだろう。そこでピンク色の魚を集めてみた。これは…

ハタタテとムレハタタテ(2)

ムレハタタテダイは千葉県以南の太平洋、インド洋に分布している。その名のとおり群れる習性がある。主食は豊富にあるプランクトンなので、群れてもエサを巡っての争いにならない。プランクトン食なので、吻(口)もハタタテダイほど尖っていない。また、尻…

ハタタテとムレハタタテ(1)

チョウチョウウオ科のハタタテダイは20cmほどになり、青森県以南の太平洋、インド洋に分布している。背ビレの一部が長く伸びているのが特徴で、これが和名の由来。近縁種にムレハタタテダイがいるが、日本では1980年ごろまでハタタテダイと混同されていた。 …

クロオビアトヒキテンジクダイ

テンジクダイ科のクロオビアトヒキテンジクダイ。その名のとおり、体の中央に黒帯がある。また、頬にオレンジ色のラインが2本入っているのも特徴。全長6cmになり、奄美大島以南の西部太平洋、インド洋に分布している。内湾性で、枝状サンゴに群れている。 黒…

高級魚シマアジのこと

アジ科のシマアジは、青森県以南の熱帯海域を除く全世界に分布している。ただし、局所的らしい。体側に黄色の縦帯が1本あるのが特徴。大きさは約80cmになるが、通常出会うのは30cm前後のものが多い。大型のシマアジは、伊豆諸島から小笠原の潮流が速いところ…

深川の街が美術館に

江東区の門前仲町、清澄白河、森下一帯は深川という。その深川で、第1回「アートパラ深川おしゃべりな芸術祭」が11/15~11/23の間開催されている。この芸術祭では、障がいなどさまざまな理由で世の中に知られていないアーティストに光をあて、それらの作品を…

写真絵本の中国語版

3年前、岩崎書店から『どこにいるかな? うみのさかなたち』を出版した。これは同出版社の「さがしてあそぼう! かくれる いきもの しゃしん えほん」シリーズの2巻目。1巻目は「のやまのむしたち」(安田守著)で、このたびこの2冊の中国語簡体字版が完成し…

キンギョハナダイの地域変異

ハタ科のキンギョハナダイは、房総半島以南の西部太平洋、インド洋、紅海に広く分布している。あまりにも普通種すぎて、よほど大群でなければカメラを向けない。キンギョハナダイのメスは明るいオレンジ色で、どこの海でも同じような体色だ。 キンギョハナダ…

真っ赤なカエルアンコウ

カエルアンコウの以前の名前はイザりウオ。10数年前、日本魚類学会は差別的用語が入った和名をいくつか見直し、今の名になった。カエルアンコウ科は日本に15種分布しているが、数種を除いて識別するのは難しい。体色や斑紋が多様だからだ。そこで種にこだわ…

すみだ水族館

きょう11月11日は「チンアナゴの日」。7年前にすみだ水族館が申請して決まった。ということで、すみだ水族館のチンアナゴ。実はきのう撮った。 チンアナゴ 7月にすみだ水族館のクラゲ展示エリアがリニューアルした。スタッフから誘われていたので、きのう行…

ハービーベイのクジラから~

オーストラリア政府観光局は、HPで動画配信している。「青」「黒」「赤」などに分け、それぞれの色のイメージで観光地を紹介。「青:水が好きな人のための感動のひととき」を見てみると、海の生きものが出てきて、ハービーベイのザトウクジラも登場した。20…

駆除対象魚・ニザダイ

テレビのニュースで知ったのだが、駆除対象魚というのがいるらしい。アサリなどを食べるエイかと思ったら、藻食性のニザダイだった。理由は、海藻を大量に食べて海を荒らす魚だからとか。ニザダイにとっては、いい迷惑に違いない。昔から自然に生えている海…

写真集 ようやく完成!

昨年から制作中だった写真集が、やっとできた。紆余曲折があったので、感慨無量だ。今回の写真集は、ライフワークとして撮り続けてきた共生や擬態、併泳など別種同士のかかわり合いがテーマで、自ら企画して岩崎書店編集者・石川氏に相談。19年3月上旬のこと…

地域変異から別種へ・モンツキベラ編

ベラ科モンツキベラは、相模湾以南の西部太平洋に分布している。以前はインド洋も分布に含まれていた。伊豆半島で見られるのは幼魚。もともとサンゴ礁域の魚なので、成魚は紀伊半島あるいは四国以南になる。モンツキベラの和名の由来は、腹ビレや尻ビレの黒…

地域変異から別種に・オグロトラギス編

同種でも、海域によって模様などが異なる場合がある。地域変異という。分類学の進歩に伴い、地域変異だったものが別種になった例が多くある。ここではオグロトラギスを見てみよう。トラギス科のオグロトラギスは、琉球列島、西部太平洋の熱帯海域に分布し、…

スミツキトノサマダイのこと

チョウチョウウオ科のスミツキトノサマダイは、相模湾以南の西部太平洋に分布している。全長約15cmで、主にサンゴ礁にペアまたは単独で生息し、サンゴのポリプを主食にしている。 スミツキトノサマダイのペア(座間味) 幼魚は内湾のサンゴのすき間にいるこ…

沖縄県魚・タカサゴ

沖縄の県魚は、タカサゴ科クマザサハナムロ属のタカサゴ。同属にタカサゴ、クマザサハナムロ、イッセンタカサゴ、ニセタカサゴの4種がおり、これらを沖縄では「グルクン」と呼んでいる。タカサゴの特徴は体側に黄色の細い縦帯が入っていて、尾ビレの先端に黒…

青と黄の魚

魚の体色・斑紋はさまざま。そこで青と黄の魚だけ集めてみたら、意外に多いことがわかった。まずはソメワケヤッコ。名前のとおり半分に染め分けられている。警戒心がやや強く、サンゴや岩陰伝いに移動する。 ソメワケヤッコ(奄美) ハナヒゲウツボは体が青…

ホタテツノハゼ晴れて新種に!

ハゼ科のホタテツノハゼが新種になった。といっても1年前の話だが…。 オーストラリアのアレン博士らが記載し、学名は Tomiyamichthys emilyae と付けられた。そもそもホタテツノハゼは、約40年前に和歌山県田辺湾の水深14mの砂底より1個体だけ採集された。84…

大島で初観察した繁殖生態

17日の「ブラタモリ」も伊豆大島の続編だった。ということで、こちらも続編。伊豆大島でフォトセミナーを何度か行った後も個人的に行ったので、そのとき初めて観察した産卵行動を取り上げてみたい。 偶然にコガネスズメダイが産卵している場面に遭遇した。砂…

アケボノハゼの魅力

クロユリハゼ科のアケボノハゼは、静岡県以南の西部太平洋、インド洋に分布している。全長は約7cm。新種記載されたのは1973年。日本では80年ごろ沖縄で生息が確認され、ハゼマニアの間では学名(種小名)の「デコラ」と呼ばれていた。84年発刊の『日本産魚類…

ヨコシマクロダイの成長過程

フエフキダイ科のヨコシマクロダイは、伊豆半島以南の西部太平洋、インド洋に分布する。成魚は主にサンゴ礁域の岩陰で見られ、あまり動かない。全長60cmになるらしいが、多くは40cm前後。老成した成魚を見ると、どこが「ヨコシマ」なんだと思ってしまう。 約…

懐かしい大島の生きもの

10日放送の「ブラタモリ」は、伊豆大島の火山がテーマだった。案内役として登場したのは、ナント西谷香奈さん。昔、ダイビングガイドをされていて、一二度ガイドしてもらったことがあった。ということで、そのときの写真を… ブラタモリに出演の西谷香奈さん…