大方洋二の魚って不思議!

写真を通して魚類の生態や海について考える

2017-01-01から1年間の記事一覧

今年撮ったお気に入りの写真(陸上編)

シャッターチャンスはいつ訪れるかわからないので、いつでもコンデジを持ち歩いている。だが、たまには一眼レフでじっくり撮りたくなることもある。 花壇に咲いていた花 これは横浜・三ッ沢公園の花壇で撮ったもの。反射式の500mm望遠レンズを使用している。…

今年撮ったお気に入りの写真(水中編)

2017年も残りわずか。そこで今年撮影した写真の中で、自分が気に入ったものを取り上げてみる。まずは水中写真。 コブシメの交接 6月に奄美で潜ったとき、コブシメの産卵が見られた。ダイバーが大勢いたので産卵中のコブシメは撮れなかったが、しばらく待って…

ヒフキアイゴとフォックスフェイス

アイゴ科は日本に13種分布している。その中でヒフキアイゴは独特の模様をしているので、すぐに識別できる。体側に黒の斑紋があるのも特徴になっている。 群れるヒフキアイゴ(座間味) ペアで行動していることが多いが、稀に群れることもある。 全長約4cmの…

夕焼けと水中写真

先日ナショナルジオグラフィックのメールマガジンに、スゴイ写真が掲載されていた。同協会の写真コミュニティ「Your Shot」に投稿された写真で、タイトルは「二つの世界」。撮影地はオーストラリアで撮影者はJordan Robins。 「二つの世界」Jordan Robins撮…

「メス」を持つ魚たち

ニザダイ科の魚は英語でサージョンフィッシュという。「外科医」という意味なのだが、どうしてだろうか。 ニザダイ。尾柄部の黒い部分にトゲがある ニザダイ科の尾ビレのつけ根(尾柄部)には鋭いトゲがあり、それを手術に使うメスに例えたのだろう。 テング…

マリンダイビング創刊50年

『マリンダイビング』1月号がようやく届いた。10日発売なのでずいぶん遅れた。その理由は、前の住所に送ってしまったからのようだ。 マリンダイビング1月号表紙 2018年1月号は、創刊50年記念YEARスタート号。それに伴い、創刊号から現在に至るまでの主な掲載…

砂地が嫌いなカレイ

前に砂地が好きなウツボ、回遊魚を取り上げたが、今度はその逆。カレイやヒラメの生息場所は砂地だが、そうとは限らないカレイもいる。 岩の上にいるモンダルマガレイ(バリ) それはモンダルマガレイで、体表に青のリング状の斑紋があるのが特徴。体色を周…

部屋を飾る'18年カレンダー

今年もカレンダーがたくさん集まった。毎年同じ企業やグループ、クラブ、個人の方々からいただいている。 勢ぞろいした'18年のカレンダー ほとんどは海のものだが、海とは無縁のものも二つある。 美ら海水族館のカレンダー 沖縄の美ら海水族館からも毎年送っ…

クロユリハゼ科の魚(2)

クロユリハゼ科クロユリハゼ属のゼブラハゼは、体側にピンクの横縞があるのが特徴。同科で横縞なのはゼブラハゼのみ。 ゼブラハゼ(インドネシア) 潮当たりがよい岩場などに生息。単独かペアでホバリングしている。日本での生息数はあまり多くない。 スジク…

クロユリハゼ科の魚(1)

科名が変わることがある。この写真のクロユリハゼは以前ハゼ科だったが、10数年前にクロユリハゼ科に変わった。 クロユリハゼ(奄美) 同科にはクロユリハゼ属、ハタタテハゼ属、サツキハゼ属、タンザクハゼ属が属している。 '98年発行の拙著『海水魚ガイド…

砂地が好きな回遊魚

回遊魚とは、アジ科やサバ科などで中層を泳ぎ回って暮らす魚たちの総称。代表的なものとしてマアジ、ブリ、カスミアジ、サバ、カツオ、マグロなどが挙げられる。 シマアジの若魚(奄美) ほとんどの回遊魚は、中層に群れている小魚や甲殻類をエサにしている…

砂地が好きなウツボ

サンゴ礁域でよく見られるウツボ類は10種くらいだろうか。そのほとんどが、岩の隙間や穴から顔だけを出し、全身は見せない。 岩から顔を出すクモウツボ('95年) クモウツボは模様が独特なので識別しやすい。 砂地に現れたクモウツボ('02年) ずいぶん前に…

シモフリタナバタウオの擬態は

シモフリタナバタウオはタナバタウオ科で、全長約15cm。奄美諸島以南の西部太平洋、インド洋に分布する。 シモフリタナバタウオ 岩陰や穴などの暗い場所に生息し、出てくることはあまりない。黒褐色の地に白い斑点が全身に入っていて、背ビレ後方に目玉模様…

あまり知られていない共生

サンゴは粘液を分泌して、表面を覆っている。流れて来るプランクトンを粘液でからめて食べたり、付着した砂やゴミは粘液ごと捨てるとされ、サンゴが健全に生育するうえで大切な物質だ。 健全なサンゴ 粘液はタンパク質、多糖類、脂質などが豊富で栄養価が高…

ボツになった写真

前回の続きになるが…。 読売新聞の取材でどんな写真を撮ったのか、気になったので調べてみた。当時のログブックと保存してある写真を見比べて確認したら、5枚くらい残っていた。 ゴマウツボとアカスジモエビ 使用カメラはコンタックスに85mmレンズ+クローズ…

古い新聞と掲載写真

古い新聞が出てきた。日付は1984年11月25日。33年前のものだ。当時読売新聞の日曜版に「野生の四季」という連載があり、いろいろな動物が登場した。海の生きものもということで話があった。 '84年の読売新聞「野生の四季」 担当記者と打ち合わせの際、「共生…

ニシキオオメワラスボについて

ずいぶん前に休刊になってしまったが、日本フィッシュウォッチングクラブ発行の『伊豆海洋公園通信』があった。各地のダイバーからの情報や魚類研究者の発表などが掲載されていて、かなり参考になった。 伊豆海洋公園通信に掲載の本種 特に日本初記録種は大…

食いしん坊のウミガメ

最近はどこの海でもウミガメによく出会う。人工ふ化などで保護したから増えたのだろう。よく行く座間味や奄美、インドネシアのコモド諸島でも数は増えていて、ダイバーをまったく怖がらない。 エサを食べるタイマイ(座間味) ウミガメでも座間味やコモドで…

大盛況! チンアナゴまつり

11月11日は「チンアナゴの日」ということで、すみだ水族館では10日~12日の3日間「ゆらゆらチンアナゴまつり」を開催。11日はチンアナゴにかかわっている有識者を招いてのイベントが行われた。 チンアナゴまつりのすみだ水族館 水族館では人気のチンアナゴを…

アカモンガラの生態(その2)

アカモンガラの沖縄での繁殖期は、5~9月。今回NHK「ダーウィンが来た!」のチンアナゴのロケで、アカモンガラのハレムがわかった。 メスが陣取る チンアナゴのコロニーのすぐそばに二つのハレムがあり、その一つは根を住みかにしていた。1尾のオスがメス11…

アカモンガラの生態(その1)

モンガラカワハギ科のアカモンガラは、相模湾以南の西部太平洋・インド洋に分布している。本州での記録はおそらく幼魚で、成魚が見られるのはサンゴ礁域と思われる。全長30cmに達する。 中層で群れるアカモンガラ プランクトン食で、通常は中層で群れになっ…

イソモンガラの食事法

モンガラカワハギ科でゴマモンガラ、キヘリモンガラ、イソモンガラは大型の部類。成魚になると50~60cmになる。この3種の幼魚は似ているため、昔は判別が難しかった。 約3cmのイソモンガラの幼魚(水納島) 図鑑に幼魚はあまり載っていなかったからで、'94年…

驚き!ツチホゼリの体色変化

ハタ科のツチホゼリは全長1mに達するらしいが、沖縄などで見られるのは50~60cmのものが多い。色彩変異が著しいが、白っぽい体に細かな黒点が無数に入るタイプが一般的。 一般的なツチホゼリ サンゴ礁域の転石帯や根の周辺が生息場所。個体によって警戒心が…

行儀がいいピグミーシーホース

タツノオトシゴの仲間にピグミーシーホースというのがいる。ピグミーとは「並みはずれて小さい」の意味なので、2cm前後の小型のタツノオトシゴのグループを総称してそう呼んでいる。 ピグミーシーホース(PNG、'05年) 特定のヤギに生息し、周囲の環境によく…

チンアナゴの履歴書

チンアナゴが新種記載されたのは約60年前。この経緯については後述するとして、日本で生息が確認されたのは1970年代後半。テレビ番組「マチャアキ海を行く」が奄美ロケで発見した。この番組がきっかけで沖縄各地でも見つかり、座間味にもいることがわかった…

15mmレンズの苦い思い出

以前、「愛用品もいつかは屑に」で古い撮影機材が出てきたことを取り上げた。その中に15mmレンズもあったが、それは初期のタイプでオート対応ではないレンズだった。 これは新タイプの15mmレンズ '74年から約20年使い、その後はニコノスRSに代えたので、出番…

変貌する浅草

徒歩圏内の浅草は、買い物や散歩に以前からよく出かけていた。2年間横浜だったので、どう変わったか確かめてみたかった。最も目についたのはホテルなどの宿泊施設がかなり増えたこと。 入口が狭いHOTEL TREND 気づいただけでも5軒増えている。元すしや通りに…

フィッシュウォッチング用写真(後編)

魚と人物を同じ画面に入れるには超広角レンズが定番だが、魚に接近しないと小さくなってしまうおそれがある。 クロオビマツカサと('93年、座間味) 魚が怯えないように近寄って撮ると、レンズの特性で手前は大きく、遠くは小さく写って遠近感が強調される。…

フィッシュウォッチング用写真(前編)

「フィッシュウォッチング」という言葉が定着するようになって久しい。初めてダイビング雑誌に使われたのは1979年とのこと。それまで魚を中心に撮影していたのだが、魚をじっくり観察する時代が来ると予測し、それ用の写真が必要になると思った。 サザナミヤ…

愛用品もいつかは屑に

20年くらい前までカメラ運搬用として使っていたプロテックスのケース。頑丈なのだが重いので、物置に入れたままになっていた。前回の引っ越しのときも開けることはしなかった。 ウレタンの粉まみれの撮影機材 今回おそるおそる開けてみたら、古い撮影機材が…