大方洋二の魚って不思議!

写真を通して魚類の生態や海について考える

ニシキオオメワラスボについて

ずいぶん前に休刊になってしまったが、日本フィッシュウォッチングクラブ発行の『伊豆海洋公園通信』があった。各地のダイバーからの情報や魚類研究者の発表などが掲載されていて、かなり参考になった。


伊豆海洋公園通信に掲載の本種

イメージ 1

特に日本初記録種は大きなニュースにならないので、これを読んで知ったことも多い。今でもたまにバックナンバーを見ている。気になっていたニシキオオメワラスボについても載っていた。









ニシキオオメワラスボ(奄美

イメージ 2

それによると、オオメワラスボ科のニシキオオメワラスボは、セイシェル島で採集された標本を基に'68年新種記載された。日本では'80年代後半ダイバーによって確認され、ダイビング雑誌に載るようになった。ぼくも'90年ごろ慶良間で撮影した覚えがあるが、写真は残っていない。当時は英名のネオンワームゴビーと呼ばれていた。






ニシキオオメワラスボ(奄美

イメージ 3

日本初記録は、伊豆海洋公園と西表島で採集された標本を基に'97年『伊豆海洋公園通信』で報告された。通常は新称として標準和名が提唱されるのだが、伊豆海洋公園の標本に仮名「ニシキオオメワラスボ」が付けられ、'94年発刊『日本産魚類生態大図鑑』(益田、小林共著、東海大学出版会)もその名になっていてダイバーにも浸透していたため、仮名を標準和名にした経緯がある。





クラカケベラの幼魚がそばに(奄美
イメージ 4

奄美大島では、砂地と小石が混じった海底で見られる。全長7~8cmで、接近すると素早く海底の隙間に姿を隠す。奄美で出会う機会が多かった理由は、ホタテツノハゼと同じポイントに生息しているのでよく訪れていたためだ。クラカケベラの幼魚とも生息場所が一緒なので、両種が接近することもしばしば。







珍しく2尾(奄美
イメージ 5

単独でいることがほとんどで、少し離れたところにもう1個体いる場合もたまにあった。一度だけ2尾が近づいたことがあって撮影できたが、それ以上の変わった行動はなかった。雌雄なのかも不明。まだまだ謎多きニシキオオメワラスボなのだ。