大方洋二の魚って不思議!

写真を通して魚類の生態や海について考える

行儀がいいピグミーシーホース

タツノオトシゴの仲間にピグミーシーホースというのがいる。ピグミーとは「並みはずれて小さい」の意味なので、2cm前後の小型のタツノオトシゴのグループを総称してそう呼んでいる。


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特定のヤギに生息し、周囲の環境によく似た体色・体型のため、見つけるのは難しい。ピグミーシーホースは約9種類いるらしいが、最も多いのはHippocampus  bargibanti で、'70年にニューカレドニア産の標本を基に新種記載された。








久場の隠れ根で('00年、座間味)
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しかしダイバーに知られるようになったのはそれから20数年後で、『マリンダイビング』がパプアニューギニア特集したときに掲載されて注目が集まった。以来各地で発見され、座間味でも「久場の隠れ根」の水深約24m付近で見つかった。日本で生息が確認されて20年近くなるので和名が付いてもよさそうだが、まだ和名はないようだ。






この種のヤギが宿主

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H. bargibanti が宿主(しゅくしゅ)にしているヤギは網状で色は赤紫のものが多い。ポリプがあり、潮の流れなどによって赤い触手を出す。ピグミーシーホースにはその触手に似た突起もある。









時には2尾でいることも('15年、柏島
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写真を見るとポートレートのように写ってるものが多いが、ふだんはもっと行儀が悪いことは実際に見た人はわかるはず。下を向いたり、後ろを向いたり、枝に隠れたりする。特に灯りは嫌がるようで、ライトを点けて撮影した動画を見ると、嫌がって離れて移動してしまう場面もよくある。







行儀がいい子('09年、ラジャアンパット)
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だからライトは点けずに撮るようにしているが、個体によってもいろいろ性格があるようだ。行儀がいい子を探すのも実力のうちなのかもしれない。