大方洋二の魚って不思議!

写真を通して魚類の生態や海について考える

ピグミーシーホースの体色

タツノオトシゴの仲間のピグミーシーホースは、1970年に新種記載された。大きさは1~2cmしかなくとても小さいうえ、住み場所のヤギ類とよく似ているため、見つけにくい。日本では1990年代後半に、沖縄などで生息が確認された。
ピグミーシーホース(2000年、座間味)

f:id:youjiuo:20191022172518j:plain

 

ピグミーシーホースが住むヤギ類は、赤い触手を出してプランクトンを捕食する。しかし触手を出していないこともある。ピグミーシーホースの体表には触手に似た突起があり、多少色を変えることもできる。このためカムフラージュ効果がさらにアップする。
触手に似た突起を持つ(コモド)

f:id:youjiuo:20191022172536j:plain

 

巧みなカムフラージュでヤギに溶け込むものとばかり思っていたが、改めて写真を見てみると、意外なことがわかった。ヤギの触手が出ていないにもかかわらず、ピグミーシーホースの突起が赤くなっていたのだ。
突起が赤くて目立つ(柏島

f:id:youjiuo:20191022172553j:plain

 

そうかと思えば、赤い触手が出ているのに体は白っぽくなっていることも。
体が白くて目立つ(柏島

f:id:youjiuo:20191022172609j:plain

 

これもヤギとは異なる体色で目立ってしまう。見つけにくいのでカムフラージュは完璧なのかと思っていたが、わりあい大雑把なことがわかった。といっても今回は敢えてそういうのを選んだわけで、パーフェクトのものも多数いた。ヤギの状況に合わせるのに時間がかかるのかもしれないし、個体差があるのだろう。
日本で約20年前に見つかっているにもかかわらず、未だに和名もなく、日本初記録種になっていない。

体が異様に赤い(柏島

f:id:youjiuo:20191022172624j:plain