大方洋二の魚って不思議!

写真を通して魚類の生態や海について考える

2022-01-01から1年間の記事一覧

2022年を振り返って

今年は新型コロナの感染が収まっていないにもかかわらず、感染対策をしながら経済を回すという国の方針にしたがい、さまざまなイベントが再開された。水中写真展「海で逢いたい」もしかり。開催にあたっては、出展数の減少が予測されたため、写真集から20点…

海のカレンダー

今年も海関連のカレンダーが届いた。座間味島で活動している「うみまーる企画」から毎年いただいているが、今年も5種送られてきた。一番大きいのが「海と空の出会う場所」で、タイトルどおり水面をテーマにしている。月の満ち欠けの絵も記されているので、と…

ロウニンアジの生態

アジ科のロウニンアジは、茨城県以南の太平洋、インド洋に分布している。ただし九州以北で見られるのは主に幼魚。成魚は熱帯海域に多い。全長150cmに達する。体色は他のアジ科魚類同様に銀色だが、黒っぽくなることも多い。比較的体高が高く、背面に引っかき…

根は、海中社会

砂地やガレ場など平坦な海底にある、小高い岩礁やサンゴ礁を「根」という。きちんとした定義があるわけではないが、ダイバーの視点からすると、幅5m前後、高さ4m前後というのが大まかな大きさだ。こうした根は、条件が揃えば多様な生きものが集まり、よいダ…

ハタタテシノビハゼについて

ハゼ科のハタタテシノビハゼは全長約6cmで、屋久島以南の中・西部太平洋に分布している。サンゴ礁域の転石帯やガレ場などに、共生エビと生息している。最大の特徴は、背ビレの一部が長いことで、おろすと尾柄部に達する。 長い背ビレが特徴のハタタテシノビ…

ピースボートの旅(スペイン編)

5日夜にイタリアを出港し、次の寄港地スペイン・バルセロナに着いたのは7日早朝だった。夜出航予定。自由行動を選んで港周辺を散策した。 バルセロナの町 水族館があったので入場し、存分に楽しんだ。また、ヨットハーバーにはたくさんのヨットが係留されて…

ピースボートの船旅(イタリア編)

エジプト・ポートサイドを30日夜出航し、次の寄港地クロアチアに向け地中海を北西に進む。お正月を海の上で迎えるのは二度目だ。2日アドリア海のクロアチア・ドブロブニクに寄港し観光もしたが、雨だったためあまり写真が撮れなかった。「アドリア海の真珠」…

ピースボートの船旅(エジプト編)

98年12月19日夜にインド・ムンバイを出港し、インド洋を西へ。25日朝にエリトリア・マッサワ港に寄港。半日滞在したのち、紅海を北上した。28日にスエズ運河に入る。大型客船がすれ違うことができないほど狭いため、湾のようなところに入り、数隻の客船の通…

ピースボートの船旅(インド編)

船旅を通して国際交流や平和活動を行っているNGOのピースボート(PB)。これまで10回くらいゲストとして乗船しているが、多くは南の海を航海するときで、期間は2~3週間がほとんど。その中で、98年のクルーズは最も思い出深い。確か船会社の事情でいろいろ変…

ピグミーシーホース 巧みな隠蔽術

タツノイトコの仲間の中で特に小型のものをピグミーシーホースという。数種いるので、それぞれ頭に種小名を付けて区別することが多い。最も有名なのがこのバージバンティ・ピグミーシーホースだ。ニューカレドニア産の標本を基に1970年に新種記載された。大…

生誕70年 星野道夫展

写真家・星野道夫生誕70年を記念し、東京都写真美術館にて開催中の写真展「悠久の時を旅する」。11/19に見に行ったが、会場は撮影禁止だったので、取り上げるつもりはなかった。 「星野道夫 悠久の得を旅する」のチラシ ところが、22日にNHK NEWS「おはよう…

ヘラヤガラの知られざる生態

ヘラヤガラ科のヘラヤガラは相模湾以南の太平洋、インド洋に広く分布している。ダイビングで見かけるものは、全長70cm前後のものが多い。普通種にもかかわらず、生態はあまり知られていない。肉食性で、小魚や小型甲殻類が主食だが、生きているものしか食べ…

いい色の日

きょう11月16日は語呂合わせで「いい色の日」だそうだ。というワケで、いい色の画像を集めてみたい。とはいえ、「いい色」のきちんとした定義はないので、各自の好みということになるのだろう。 座間味島がある慶良間諸島の海はきれいで有名。したがって「ケ…

第26回 あでやっこ水中写真展

関西を中心に女性だけで結成された水中写真倶楽部「あでやっこ」。今年で29年目になる。当初より写真展を開催していたが、神戸淡路大震災の年と、コロナ禍の20年、21年の計3回中止になったため、数が合わない。 それはさておき、写真展が3年ぶりに11月10日~…

創立50周年記念式典

潜水指導団体の全日本潜水連盟(JUDF)は、今年創立50周年を迎えた。その記念式典が、11月12日(土)午後、第一ホテル両国に於いて開催された。JUDFは、1972年に日本潜水会、関西潜水連盟など他の団体と合併して設立された。 第一ホテルで開催された記念式典…

久々のダイビング(2)

今日11月11日は「チンアナゴの日」。というワケで、チンアナゴを。5年前の「ダーウィンが来た!」でチンアナゴを撮影した、まさに同じポイントで狙ってみた。流れがあったせいか、体をかなり出してプランクトンを食べていた。数も増えた感じだ。 チンアナゴ …

久々のダイビング(1)

本当に久しぶりにダイビングした。それも沖縄・座間味島で。ダイビング自体は2年ぶりだが、座間味は2017年「ダーウィンが来た!」のチンアナゴのロケ以来なので、ナント5年ぶりになる。そのため、建物が増えて風景が変わっていた。長年訪れなかったにもかか…

砂にまぎれる魚

砂地に生息するのはヒラメやカレイという印象だが、そうとは限らない。体に砂をかぶり、目と口だけ出している魚も多い。外敵やエサとする小魚に気づかれないようにするためだ。砂地を移動しているとき、そのような魚を見つけると、やったーという気持ちにな…

浅草の新たな名所

先週の土曜日、数か月ぶりに浅草へ行った。行動制限がなくなったお陰で、観光客や買い物客がずいぶん戻った。外国人観光客もかなり見かけた。 賑わいが戻った浅草六区の通り。金魚すくいも出ていた 総合商業施設の「まるごとにっぽん」にも行った。以前は、…

意外性多いウツボ

10/27のNHK「あさイチ」で不定期のコーナー「愛でたいnippon」があり、高知県特集だった。その中で、ウツボ料理が紹介されていた。多くの方はウツボを食べる習慣はないと思うが、高知では昔から食べられていて、特に冬季が旬だそうだ。 高知の一部の地域で食…

魅力的  魚の正面顔(2)

チョウチョウウオはわりあい行動的なので、正面から撮るのは難しい。しかし、沖縄に生息するものは岩陰で休んでいることが多いため、チャンスがある。 口をゆがめたようなチョウチョウウオ(座間味) アデウツボは、口の中が黄色いのが特徴。生息数が少なく…

魅力的  魚の正面顔(1)

魚の顔を正面から見ると、表情がわかりやすくて魅力的だ。それゆえ機会あるごとに正面から撮るようにしているが、底生魚以外は難しい。動く魚を正面から撮るには、それなりの駆け引きが必要になる。 ニシキヤッコは警戒心が強い反面、好奇心も強い。そのため…

尾ビレが特徴  タコベラ

ベラ科のタコベラは全長約13cmになり、千葉県以南の西部太平洋、インド洋に分布している。サンゴ礁域の転石帯や岩場、藻場などに生息する。基本的な体色は赤茶だが、生息環境などによって変異がある。特徴は尾ビレで、広げるとひし形あるいは四角形に見える…

ツバメウオが体を倒すワケ

マンジュウダイ科のツバメウオは全長約60cmに達し、北海道以南の西部太平洋に分布している。若魚や成魚の生息域は、伊豆より南にあたる。ツバメウオは時折体を倒すことがある。なぜなのだろうか。 体を倒すツバメウオ(奄美) 体を倒すのは、動かないときが…

温帯域に適応 スジベラ

ベラ科のスジベラは全長約18cmになり、相模湾以南の西部太平洋に分布している。砂地と岩場が混在する転石帯でよく見られる。メスは赤茶色の体色で、白い横縞がある。環境によって体色に変化があるようで、白い砂地に生息する個体は腹部が白くなり、岩場のも…

宝石サンゴについて

公益財団法人笹川平和財団 海洋政策研究所発行の『Ocean Newsletter』No.532号が届いた。以前は紙媒体だったが、数年前よりメールマガジンに代わっている。主に海洋に関する研究者が研究・調査で得られたことについて毎号三つのレポートが掲載されている。今…

けんかとなかよし

詩人の谷川俊太郎さんとイラストレーターのNoritakeさんが手がけた絵本『へいわとせんそう』(ブロンズ新社)。先月だったか、テレビで紹介されたのを見て、感動した。シンプルなイラストと短いタイトルで平和と戦争を対比。誰にでもわかりやすく、しかも考…

複雑 オニカサゴの世界

フサカサゴ科オニカサゴ属のオニカサゴは全長約25cmになり、房総半島以南に分布している。比較的平べったい体型で、口の周りに皮弁がある。1990年ごろまではサンゴ礁域にも分布しているとされていたが、奄美や沖縄に生息するものは別種のサツマカサゴ、ウル…

玉鷲優勝!

大相撲秋場所は、平幕の玉鷲が13勝2敗で優勝した。玉鷲は最年長のうえ、連続出場記録も上位につけており、「鉄人」と呼ばれている。 優勝を果たした玉鷲(中日スポーツ電子版より) 玉鷲が所属する片男波部屋は墨田区石原にある。我が家から徒歩5分くらいな…

絶好の被写体 ユカタハタ

ハタ科のユカタハタは全長約40cmになり、伊豆半島以南の太平洋、インド洋に分布している。サンゴ礁域ではお馴染みのハタで、鮮やかな赤に無数の青い斑点があり、とても美しい。比較的生息数が多いうえに大きさも手ごろで、警戒心もあまりないためよい被写体…