大方洋二の魚って不思議!

写真を通して魚類の生態や海について考える

#自然観察

ミツボシとフタスジの推移

多くのケラマハナダイが住み着いている小さな根がある。場所は奄美。オスだけが集まって急に泳ぐ習性があり、その姿に魅せられ何度もレンズを向けた。しかしいつも邪魔する魚がいる。やはり数が多いミツボシクロスズメダイだ。なので、手前に入らないよう注…

“ナミチョウ”の謎

チョウチョウウオ科のチョウチョウウオは全長約20cmになり、津軽半島~琉球列島、朝鮮半島南岸、台湾、南シナ海に分布している。低めの水温にも適応し、伊豆半島付近でも成魚が普通に見られる。体色はやや地味で、黄色味がかった茶色。そして顔には黒と白の…

ヨソギという魚

カワハギ科のヨソギは全長約15cmになり、千葉県~九州、東シナ海、朝鮮半島南岸、台湾、フィリピン~オーストラリア北岸に分布している。日本のサンゴ礁では見られない。体色は白あるいは淡いベージュで、黒褐色の不規則な縦帯が2本入っているが、感情の変化…

益田一制作動画救済プロジェクト

イラストだった魚類図鑑を、標本写真で最初に制作した益田一氏。魚類学界に対する多大な貢献、そしてダイバーの育成やダイビング業界の発展に努めた氏の業績を後世に顕彰するため、没後20年の節目に有志が「益田一顕彰委員会」を設立した。手始めに、益田氏…

ヤッコエイとハナダイ類について

久しぶりに日本魚類学会のHPを閲覧した。〝シノニム・学名の変更〟の項目を見ていると、目が釘付けになったところが…。2024年8月1日付けで、「ヤッコエイ(アカエイ科)を新種」とあった。 背に淡い水色の斑点が特徴のヤッコエイ(水納島) これは一体どうい…

アートな存在・ナンヨウハギ

ニザダイ科のナンヨウハギは全長約25cmになり、高知県以南の西部太平洋、インド洋に分布している。体色・斑紋はかなり独創的で、よくもこのようなデザインになったものだと感心する。サンゴ礁に生息し、サンゴへの依存度は高い。特に幼魚や未成魚は隠れ家と…

ジンベエザメ遭遇記(3)

2002年7月20日、JICA(国際協力事業団・現国際協力機構)「サンゴ礁保全」の研修(水中撮影実習)のため、総勢10名で座間味島に着いた。実習は午後からなので、それまで自由時間。そこへダイビングサービスより、ジンベエザメ出現の情報があったのでボートを…

ジンベエザメ遭遇記(1)

魚類で最大になるのはジンベエザメ。ダイバー憧れの魚でもある。今では、この時期ある海域に出現する、というデータがあるため、遭遇するのは珍しいことではなくなったが、30年以上前は“運”だけが頼りだった。 1989年8月13日、ハードな仕事を終えたのて、の…

ヒトデいろいろ

棘皮動物のヒトデの多くは腕が5本で、星の形をしている。海底に生息し、裏側にある管足で移動することができる。エサは種によって異なるが、主に貝類。魚類の死体なども食べる。ヒトデの表面は硬いので、魚に食べられることはないに違いない。おそらく天敵は…

5/18(日)NHKの海番組

5月18日(日)にNHKで放送された番組のうち、海中シーンが三つもあった。まずは『さわやか自然百景』で、「伊豆半島 宇佐美の海」。一昨年NHKを退職して制作プロダクションを設立したKさんの撮影で、事前に連絡をもらっていた。伊豆も水温が高めで、アオウミ…

大瀬崎の想い出(2)

アナハゼは警戒心がないどころか、とても人懐こい。あるとき、ハゼを捕食しようと狙っているアナハゼにレンズを向け、待っていた。すると何を思ったのか、アナハゼがカメラに乗って来たのだ。感動したのだが、その状態では証拠写真が撮れない。そこで友人と…

大瀬崎の想い出(1)

西伊豆の大瀬崎ほどダイビングに特化したところはないだろう。何しろ海岸沿いにダイビングサービスが10数軒並んでいるのだから…。ダイビングエリアは湾内、岬先端、外海の3か所あり、強風が吹いてもどこかは静か、という利点がある。大瀬崎で初めて潜ったの…

ツノダシ 大群移動の謎

NHKBSで「ワイルドアジア」(NHK・BBC共同制作)シリーズが5/12(月)より放送開始した。それに先立ち、NHK総合で5/5(月) にプロローグが放送された。〝波の下の世界〟では、ツノダシが大群で沖に出て行くのだが、サメに襲われて大半が捕食され、生き延び…

ヤマブキベラの生態

ベラ科のヤマブキベラは全長約20cmになり、千葉県以南の太平洋、インド洋に分布している。メスは全体が黄色または後部が薄い緑で、顔に淡いピンクの隈取模様が入っている。一方オスも隈取模様があり、黄色、青緑、薄紫が複雑に組み合わさり、胸ビレ先端が濃…

風景写真で旅気分(座間味編)

連絡船が座間味港に近づくと、左側に安慶名敷島(アゲナシク)と嘉比島(ガヒ)が見えてくる。島の周囲は白砂なので、いつもきれいな水色が出迎えてくれる。 アゲナシク島と奥がガヒ島 高月山展望台からは、座間味集落や港、島々一望できる。通い始めた70年…

風景写真で旅気分(奄美編) 

GW真っただ中。陽気もいいので旅行に行きたい気分だが、混雑が苦手という方も多いはず。そこで、風景写真で旅気分を味わっていただこう。 まずは南部の名勝地ホノホシ海岸。ビーチ全体が玉石でビッシリ。いうまでもなく、波によるものだ。そのため、いつでも…

サンゴの白化現象について

サンゴ礁を形成するサンゴを総称して造礁サンゴまたはイシサンゴという。代表的なのはミドリイシの仲間で、テーブル状や枝状のものが多い。成長がわりあい早いのも特徴。イシサンゴ類は高水温が長く続くと、白化することが知られている。1998年に世界的規模…

益田式ニコノス一刀流

『世界の海水魚』(益田一/ジェラルド・アレン共著、山と渓谷社、1987年刊行)を見ていたら、おもしろいことに気づいた。モンダルマガレイのページだ。魚名はトゲダルマガレイとなっているが誤り。それはともかく、モンダルマガレイの体の一部が欠けている。…

コブでアピールする魚

10年前、日本海で漁師が釣った約80cmのコブダイを、福井県海浜自然センターの水槽に展示したところ、大評判になったことがあった。水槽には「幼魚期の段階ではメスだが、約50cmを超えると頭部にコブが突き出てオスに性転換する珍しい魚」との説明書も。ダイ…

ゴマアイゴについて

アイゴ科のゴマアイゴは全長約40cmになり、奄美大島以南の西部太平洋、東部インド洋に分布している。体高が高く、明るい灰色の地に黄色味の小斑紋が全体に入り、背中後方には黄色の斑紋がある。単独、ペア、群れといろいろな行動パターンがある。藻食性で、…

砂に潜るオニダルマ

オニオコゼ科のオニダルマオコゼは全長約30cmになり、伊豆半島以南の太平洋、インド洋に分布している。体色は褐色系で、複雑な模様があるうえに動かないので、岩のように見える。また、砂に潜っていることも多い。背ビレのトゲには毒があるので、着底すると…

性転換途中の魚

陸上の動物は、産まれたときの性で一生を終えることがほとんどだ。ところが、魚類では性転換する種が結構多く、けして珍しいことではない。したがって、性転換途中の個体に出会うこともある。本来オス・メスを区別するのは卵巣や精巣の成熟度だと思うが、調…

マリンダイビングフェア2025

4月4日(金)より池袋サンシャインに於いて「マリンダイビングフェア2025」が開催されている。初日の午後に行ってみた。今回は入場者全員に『Marine Diving特別号』が手渡された。この催しのため特別につくったようだ。 マリンダイビングフェア2025のポスタ…

ジョーフィッシュはおもしろい(2)

ジョーフィッシュの体が青くなることがある。当初は婚姻色かと思った。奄美での繁殖期は5~8月くらいと考えていたからだ。 青くなったジョーフィッシュ(6月) ところが、繁殖期ではないと思わっれる11月や2月でも青い個体を見ることが多々あった。婚姻色以…

ジョーフィッシュはおもしろい(1)

アゴアマダイ科の魚を英名でジョーフィッシュという。口が大きいからだ。日本にも2属13種分布しているようだが、和名が付いているのはアゴアマダイ、カエルアマダイ、ニラミアマダイ、ニジアマダイ、ワニアマダイの5種のみで、あまり研究が進んでいない。奄…

放送100年 テレビの時代到来 

NHKが放送を開始してから今年で100年になる。それにちなみ、記念する特別番組が放送されている。100年はラジオ放送で、テレビ放送は72年。放送当初は映像を収録する技術がなかったため、スタジオや劇場からの生放送、そして16㎜フィルムで撮ったドラマが主だ…

クマノミ類とクリーナー

昔からクリーニングという生態に魅せられ、撮影してきた。沖縄ではクマノミ類の生態も撮り始めたが、クマノミ類がクリーニングされる場面はなかった。寄生虫が付かないからだ、と自分なりに思っていた。理由は、イソギンチャクに触れるうえ、刺胞毒を通さな…

ウミスズメについて

ハコフグ科のウミスズメは全長約25cmになり、伊豆半島以南の西部太平洋、インド洋に分布している。これまで出会ったのは温帯域のみで、大きさも20cm弱がほとんどだった。体色は薄茶で不規則な斑紋が入っているが、個体によって変異がある。特徴は、鋭いトゲ…

ダイビング雑誌 華やかなりし頃  

現在、月刊のダイビング雑誌は1冊もない。全盛期(37年前)は4誌もあったのに…。ということで、ダイビング雑誌の歴史を振り返ってみたい。 最初に出版されたのは『ブルーゾーン』で、1968年のこと。しかし2号か3号で廃刊になってしまった。翌69年、水中写真…

ニシキカワハギについて

カワハギ科のニシキカワハギは全長12cmに達するが、通常見られるのは約8cm。駿河湾以南の西部太平洋、インド洋に分布する。体は青味がかった灰色と黄緑が途中でにじみ、尾ビレはオレンジ色。小型甲殻類、ゴカイ類、貝類などを食べる。分布は広いものの生息数…