大方洋二の魚って不思議!

写真を通して魚類の生態や海について考える

#自然観察

海の危険生物

夏休みに入り、海で磯遊びやスノーケリングを楽しむ人が多いと思う。波や潮の流れなどに気をつけるのは当然として、危険な生きものもたくさんいるので、注意が必要。そこでいくつか紹介しよう。 まずはクラゲの仲間のカツオノエボシ。浮袋から長い触手が出て…

涼しくなる水中写真

厳しい暑さが続いている。猛暑日には出社を停止し、オンラインで業務を行う、という会社まで現れた。そこで何とか涼しさをお届けしたいと思い、涼し気な水中写真を選んでみた。最初はアオウミガメ。やや遠め配し、水色のトーンで海の広がりを強調した。 広い…

「旅サラダ」で奄美

毎週土曜日の朝、テレビ朝日で放送の旅番組「旅サラダ」。毎週楽しみにしているが、今朝(7/20)は女優の木村文乃が奄美大島を旅した。20年前、奄美が舞台の映画「アダン」がデビュー作で、そのロケ以来の奄美だそうだ。ダイバーでもある木村文乃は、奄美で…

ミスジスズメダイの地域変異

スズメダイ科のミスジスズメダイは、伊豆半島以南の西部太平洋に分布している。全長約5cmの小型種で、砂底に転石がある環境に生息する。白い体に黒い帯が3本あることでこの名が付いた。新種記載されたのは1974年で、日本初記録もほぼ同時と思われる。という…

最新の身近な情報

昔、行った場所や出会った人の新しい情報を知ることは、何となくうれしい。それがよかったことでも、悪かったことでも、懐かしさが勝るからなのだろう。7/12に届いたナショジオのメルマガに、オーストラリアの最南端のサンゴ礁が白化した、という記事が載っ…

日本で見られるゴンべ類(2)

サンゴ礁域でよく見られるのがメガネゴンべだ。目のところに楕円形の模様があることでこの名が付いた。体の色は個体によって違いがある。サンゴの上に乗っていることが多く、最も好んでいるのはハナヤサイサンゴだ。移動中に休むときは、別のサンゴにも乗る…

日本で見られるゴンべ類(1)

ゴンべ科は世界に12属35種、日本には8属14種分布している。なかなか出会えない種もいるので、比較的見られる10種を紹介しよう。ゴンべ科は、背ビレのトゲの先端に糸状突起と呼ばれる、小さな花のよう飾りがあるのが最大の特徴。行動的には岩やカイメン、サン…

オトメハゼの暮らしぶり

ハゼ科のオトメハゼは全長約12cmになり、千葉県以南の太平洋、インド洋に分布している。主にサンゴ礁域の砂地や転石帯に生息し、大抵ペアで行動している。石の下に巣穴を掘って住みかにする。白っぽい体にオレンジ色の楕円の斑紋が体側に並んでいるのが特徴…

国立科学博物館「地球の宝を守れ!」

最近クラウドファンディングが流行っている。国立科学博物館でも昨年8月、クラウドファンディングを実施した。コロナによる長期にわたる休館、入場制限などで収入減少、さらには諸経費の高騰などにより、膨大な標本の管理が難しくなったというのが理由。 国…

ピンクがかったマンタ

4年前、ナショナルジオグラフィックのメールマガジンに、ピンクのマンタがいたという記事があった。とても珍しいので、「魚の仰天ニュース」としてここで取り上げた。ピンクのマンタが発見されたのはメルマガで発信する4年前の2016年で、場所はオーストラリ…

激変 ベニヒレイトヒキベラ

ベラ科のベニヒレイトヒキベラは全長約12cmになり、伊豆大島および串本以南の西部太平洋、東部インド洋に分布している。1992年に外国人学者により新種記載されたが、日本でも沖縄各地で生息が確認され、1年後には日本初記録種になって和名が付けられた。尾ビ…

写真展「海中顔面大博覧会」

中村征夫写真展「海中顔面大博覧会」が富士フイルムフォトサロン 東京(東京ミッドタウン)に於いて、6月14日より7月4日まで開催中だ。20日午後に行ってきた。 写真展・海中顔面大博覧会のチラシ 中村征夫氏は、1987年に「海中顔面博覧会」の写真展・写真集…

ストロボは1灯で充分

一眼レフなどで水中撮影するとき、大部分の人はストロボを2灯にしている。2灯にする理由を知らずに、メーカーやショップのいいなりか、誰かを真似している人も多いと思う。超ワイドレンズのときは、1灯ではカバーできないため、2灯で半分ずつ照射する、と…

イソギンチャクに魚が近づくワケ

イソギンチャクが有毒なのは、大抵の人は知っている。では、魚たちはどうなのだろうか。おそらく、本能的に知っていると思う。免疫があるクマノミ類やミツボシクロスズメダイ以外の魚は、そばに行かなかったり、行ったとしても触手に触れないようにしている…

キンセンフエダイについて

フエダイ科のキンセンフエダイは全長約25cmになり、琉球列島以南の西部太平洋、インド洋に分布している。体色は黄色味を帯び、目から尾柄部まで黄色い線が1本通っているのが特徴で、和名の由来になっている。その上下にも黄色の細い線が数本あるが、さほど目…

婚姻色ランキング

今の時季は、多くの魚類の繁殖期に当たる。繁殖につきものは、オスが示す婚姻色だ。そこでこれまで見た婚姻色の中で、際立ったものを5つ紹介しよう。白枠内は通常のときの体色。 婚姻色になるのはなぜかスズメダイ類が多い。このテンジクスズメダイは、最初…

普通種・フタスジリュウキュウ

スズメダイ科のフタスジリュウキュウスズメダイは全長約6cmになり、伊豆半島以南の太平洋、インド洋に分布している。和名の由来は、白っぽい体に黒いスジが2本あるため。しかし成長に伴い、後方のスジは不明瞭になる。また、体色を黒っぽくすることも多い。…

第2回 あでやっこ弾丸奄美ツアー(2)

2021年に奄美・沖縄が世界遺産に登録された。それを機に、若い世代にも大島海峡に関心を持ってもらいたいとの思いで、(一般社団法人)奄美せとうち観光協会が中心となり「奄美せとうち海っ子クラブ」を23年に発足。対象は小中高生で、ビーチクリーンやスノ…

第2回 あでやっこ弾丸奄美ツアー(1)

奄美へ行ってきた。台風の影響で2日早く帰ったが。第1回あでやっこ奄美ツアーは2018年10月に実施したが、その後は諸事情により延び延びになっていた。今年2月に「海で逢いたい」神戸展に行った際、“あでやっこ水中写真倶楽部”のメンバーと2回目の奄美ツアー…

トマトグループ

クマノミの仲間は世界に26種知られており、日本には6種分布している。体型などを基に、全種を5つのグループに分けることがある。今回はハマクマノミのグループを見てみよう。学者は「レッドサドルバックグループ」といっているが、ここでは簡単に「トマトグ…

イシガキカエルウオ・生態の謎

イソギンポ科のイシガキカエルウオは全長約6cmになり、奄美大島以南の西部太平洋、東部インド洋に分布している。サンゴ礁域の浅瀬に巣穴を持ち、その中で暮らす。時折巣穴から出て、岩肌に付着している藻類を食べる。目の周りの縞模様と、喉のあたりの黒線、…

ピクチャードラゴネットの繁殖

ネズッポ科のピクチャードラゴネットは全長約7cmになり、フィリピン、インドネシアなどに分布している。日本にはいないため、和名はない。同科のニシキテグリと近縁で、生息場所や行動などはよく似ている。生息場所は内湾にある枝状サンゴの根元で、警戒心が…

コトブキテッポウエビの裏ワザ

テッポウエビ科のコトブキテッポウエビは、1980年に新種記載された。同時期に沖縄でも生息が確認されたが、研究は進まなかった。そのためダイバーたちは、英名のランダールピストルシュリンプと呼んでいた。その後各地でも見つかり、伊豆半島以南の西部太平…

海のオーバーツーリズム 

オーバーツーリズムが社会問題になっている。特定の観光地に訪問客が集中し、地域住民の生活や自然環境に負の影響をもたらすうえ、観光客の満足度を低下させる状況のことで、経済効果との兼ね合いもあるので、対策は難しい。 海にも同様なことが起きた。ボル…

カエルアンコウの “釣り竿”

カエルアンコウの仲間は、ルアー(釣り)をすることで知られている。イリシウムといわれる “釣り竿” が口の近くについていて、先端にエスカと呼ばれる疑似餌がある。それを振ることにより、エサと間違えて近寄って来る小魚を捕食するのだ。このような捕食行…

“ ゴールデン ” な魚たち

ゴールデンウィーク真っ只中。知っている方も多いと思うが、ゴールデンウイークという言葉は、日本の映画業界がつくった和製英語。それゆえNHKでは“大型連休“という。それはさておき、ゴールデンウイーク(黄金週間)にちなんだ魚を紹介しよう。まずはマルク…

祝 奄美大島 ダイビングエリア大賞

マリンダイビングウェブが企画した「マリンダイビング大賞2023」。全国のダイバーがお気に入りの海、気になっている海を投票で決めるランキングで、ベストダイビングエリア国内部門は奄美大島が1位になった。沖縄を抑えて…と思ったら、別に沖縄部門があった…

スジハナダイについて

ハタ科のスジハナダイは全長約14cmになり、伊豆半島以南の西部太平洋に分布している。エラ蓋付近から尾柄部まで赤帯が1本入っているのが特徴。やや深い岩礁域に生息している。高知の魚類相の調査、分類学の研究をされていた蒲原稔治博士により、1954年新種記…

プラネットアース新シリーズ

4/21(日)午後9時、NHKスペシャルでプラネットアースⅢが放送された。このシリーズはBBCとNHKの共同制作によるもの。第1回は「海の世界」で、これまでのシリーズでもすごいシーンばかりで感動したのを覚えているが、今回はさらに上回った。 プラネットアース…

1990年 熱き時代

レトロブームのようだ。好景気に沸いたバブル時代の映像がテレビでよく流れている。確かに80年代後半は景気がよかった。バブルという言葉も、はじけて言われたように思う。80年代後半は「マリリンに逢いたい」「グラン・ブルー」「彼女が水着に着替えたら」…