大方洋二の魚って不思議!

写真を通して魚類の生態や海について考える

2014-01-01から1年間の記事一覧

スカイツリーの表情

東京スカイツリーは近くなのでいつでも見える。季節や時間でさまざまな表情を見せてくれるので、機会があればカメラに収めている。ということで、今年撮影したスカイツリーの写真で2014年を締めくくりたい。 スカイツリーに暗雲が垂れこめる 1月9日、出先か…

今年の出来事(3)

5月に奄美大島で採集したフグは、国立科学博物館の松浦啓一氏によって新種記載された。 新種記載論文の一部 その論文は9月6日付けで日本魚類学会の英文誌、Ichthyological Researchにオンライン出版された。 フグの学名は Torquigener albomaculosus で、標…

今年の出来事(2)

NHK潜水班(水中撮影班)は年に何度か研修会を行っている。5月に伊豆大島で行われた研修会に講師として参加した。 所狭しと置かれた器材。研修会のベースになったホテル レクチャーのテーマは「魚類の生態観察と撮影テクニック」。一緒に潜って撮影研修を見…

今年の出来事(1)

今年も残りわずか。振り返ってみるといろいろあった。そこで海(仕事)に関連した印象に残る出来事を順に列挙してみたい。 デンマークの科学雑誌に掲載 昨年海外の雑誌等にミステリーサークルに関する写真をずいぶん貸した。デンマークの科学雑誌とは昨年11…

魚類研究者としての天皇陛下

きのうは天皇陛下の誕生日。今年で81際になられた。天皇は魚類の研究者としてもよく知られている。 誕生日の記者会見(宮内庁のHPより) 特にハゼ類が専門で、皇太子時代に『日本産魚類大図鑑』('84年発行 東海大学出版会)の中でハゼ類の解説を書かれてい…

マグロの救世主になるか!? スマ

絶滅危惧種に指定されたクロマグロの代わりとして、スマが注目されている。先日もスマの養殖に取り組んでいる様子がTBSのニュースで報じていた。 スマ養殖の共同研究(TBSニュースより) 愛媛大学と愛媛県の共同研究で、現在は実験的に生簀で養殖をしていて…

能登・輪島一人旅(2)

「あぜのきらめき」を見た帰りのバスが輪島商店街を通ると、多くの店がクリスマスイルミネーションで輝いていた。 輪島商店街のイルミネーション バスを降り、ホテルに向かいながらシャッターを押す。相変わらず吹雪いているうえに暗いので、スローシャッタ…

能登・輪島一人旅(1)

能登半島の輪島に旅行した。昔からこの地名に引かれていて、いつかは行ってみたいと思っていた。ちょうど2泊3日フリープランのツアーがあったので、念願が叶った。 途中から雪景色に とはいえ、旅行は天気で善し悪しが決まるものだと改めて知った。というの…

「さわやか自然百景」放送日確定!

先月中旬、座間味島でロケしたNHKの番組の放送日が確定した。 「さわやか自然百景 新春特集 四季 日本の自然を感じる旅」がその番組のタイトル。 NHKさわやか自然百景のHPより 当初は1月3日に放送予定だったが、他の番組との調整で変更の可能性がある、と言…

モンガラカワハギの生態

奇抜な模様の代表格は、なんといってもモンガラカワハギではないだろうか。日本では奄美や沖縄などのサンゴ礁域に生息している。決して生息数が多いわけではないが、一度見ると印象に残るので多いと感じてしまうようだ。 珍しくペアで砂地に現れた(慶良間)…

秀保さんとの思い出(3)

'96年NHK「生きもの地球紀行」の仕事が決まったとき、迷わず秀保さんにお願いした。このときのテーマはコブシメとトウアカクマノミ。繁殖期が異なるので二度座間味を訪れ、延べ50日間ロケした。 スタッフとの記念写真と宮崎さん('96年7月) この回は「特集…

秀保さんとの思い出(2)

追い込み網の「講習」は確か2日間行われたが、その後漁業としては座間味で実践されることはなかった。当時の漁業組合員はダイビング事業者がほとんどで、本業が忙しくなったからだ。 追い込み網の「講習」でグルクンを捕る('70年代後半) 追い込み網をやら…

パティオ忘年会と秀保さんとの思い出(1)

昨夜、座間味島のパティオハウスリーフ&ざまみダイビングセンターの忘年会が銀座で開かれた。常連さんらと再会し、楽しいひとときを過ごした。今回は、オーナーだった宮平秀保(ひでやす)さんが6月に亡くなられたので、「偲ぶ会」も兼ねていた。 忘年会参…

深刻! 拡大する磯焼け

先日、相模湾の磯焼け被害のニュースを見た。磯焼けとは、海底の海藻が枯死している状態のこと。いうまでもなく、魚類やその他の生物も激減する。 磯焼けのニュースより 磯焼けの原因は高水温、水質悪化などが考えられている。磯焼けが進んだ状態になると岩…

作品づくりのテーマについて

先日シニアダイバーズクラブ(SDC)の水中映像発表会があった。そのことについては前に書いた。それぞれテーマを決めて作品づくりをしていて感心したが、テーマを絞り過ぎると苦しくなることもある。 ヤギ類とアカマツカサ。これだけでは定位置を説明できな…

水揚げされた珍魚・ベンテンウオ

深海魚のベンテンウオが定置網に入ったと、ネットのニュースで知った。水揚げされたのは28日の朝で、場所は富山湾。掲載されている写真は魚が傷んでいるものの、大きな背ビレと尻ビレが特徴ということがわかる。 水揚げされたベンテンウオ ベンテンウオはシ…

圧巻!BBCの写真集

イギリスから郵便物が届いた。BBC(英国放送協会)出版部門のBBC BOOKSが制作した動物の写真集で、タイトルは『LIFE STORY』。BBCがドキュメンタリー番組で取材した動物たちを1冊にまとめたもので、今回DVDと同時発売になった。 『LIFE STORY』の表紙と裏表…

カレンダーが届く季節

カレンダーが届く季節だ。第一号は座間味島の「うみまーる」からだった。毎年4種類送ってくれている「うみまーる」だが、2015年用は5種類に増えている。 届いた5種類のカレンダー 「うみまーる」は自然写真家の井上慎也・高松明日香のお二人のユニットで、座…

第7回 SDC水中映像発表会

シニアダイバーズクラブ(SDC)という、ダイビングを楽しんでいるクラブがある。会員は約300名で、全国に亘っている。SDCのメンバーは面倒見がよい方が多く、ダイブクルーズで何度もお世話になっている。 SDC水中映像発表会の会場とプログラム SDCはダイビン…

水中写真家 フィリップ・シュルケのこと

アメリカの水中写真家は3人会ったことがある。フィリップ・シュルケ、デビット・デュビレ、クリス・ニューバートだ。今回はフィリップ・シュルケのことを書いてみたい。 『SKIN DIVER』'69年5月号と中にあった広告 ぼくが水中写真を始めた'64年ごろは日本に…

期待高まるクロマグロの完全養殖

今月17日、IUCN(国際自然保護連合)が、太平洋のクロマグロを絶滅危惧種に指定した。これにより、資源保護のために漁獲量が制限されることは間違いない。 IUCN(国際自然保護連盟)のHP クロマグロ最大の消費国である日本は、以前からクロマグロの養殖も行…

ゴマモンガラの生態

11月2日放送のNHK「ダーウィンが来た!」はゴマモンガラだった。卵を守っているとき凶暴になることは、経験豊かなダイバーなら知っている。 エサを探しているゴマモンガラ 繁殖期以外のゴマモンガラは、近寄って行くとゆっくり遠ざかる。接近して撮影ができ…

「さわやか自然百景」座間味ロケ

座間味ロケを終えて帰ってきた。今回は水中が3日、陸上が半日という撮影スケジュールだったが、なんと荒天で高速船が欠航。那覇に1泊するハメになってしまった。 座間味港の前にある無人島の光景 翌日のフェリーで島に渡り、午後3時から海に出た。北風がや…

ハナダイスキ(最終回)

ハナダイ類には日本に分布していないものも数多い。基本的には日本にいない魚(生きもの)には和名がないので、英名を使うことになる。そこで今回は、日本では見られないハナダイ類を取り上げてみよう。 メラネシアンアンティアスのオスとメス(ラジャアンパ…

ハナダイスキ(3)

ハナダイ類の中には〇〇ハナゴイという名もいる。上唇が少し突出しているのが特徴で、以前はハナゴイ属として独立したグループだった。現在は、キンギョハナダイなどと同じナガハナダイ属に含まれている。 ハナゴイ。オスの背ビレは大きい(慶良間) ハナゴ…

ハナダイスキ(2)

ハナダイ類にハマると、だんだん深みに潜るようになる。珍しくてきれいなハナダイは深いところに多いからで、減圧症(潜水病)にかからないよう注意する 必要がある。 ニラミハナダイのメス(慶良間) ニラミハナダイも生息場所は深い。'93年に慶良間の外海…

ハナダイスキ(1)

好きな魚を選ぶのは難しい。それぞれ魅力があるからなのだが、被写体としてならハナダイかもしれない。色がきれいで動きもあるので、いると必ずカメラを向けてしまう。 キンギョハナダイ。白枠内はオス(慶良間) 「ハナダイ」とはハタ科のナガハナダイ属が…

NHK番組の慶良間取材

しばらく海から遠ざかっている。毎年9月か10月はインドネシアのダイブクルーズに行っているのだが、今年は諸事情でキャンセルになってしまった。 阿嘉島と屋嘉比島の間に連なる岩礁域のイジャカジャ 代わりに沖縄に行こうと考えていたら、台風が立て続けに来…

ブロニカで撮ってたころ

6×6判のポジフィルムが出てきた。ゼンザブロニカで撮ったものだ。このカメラは'70年から'74年まで使用したので、40年くらい前になる。ハウジング(スガブロニカマリン)は当時所属していたダイビングクラブからの借り物。 ブロニカで撮影中のぼくとゼンザブ…

ネイチャーフォトコン入賞作品

ナショナルジオグラフィックのメールマガジンに「Wildlife Photographer of the Year」の入賞作品が載っていた。これはロンドン自然史博物館が50年にわたって開催しているネイチャーフォトコンのようで、あることは知らなかった。雑誌『Wildlife』が行ってい…