今月17日、IUCN(国際自然保護連合)が、太平洋のクロマグロを絶滅危惧種に指定した。これにより、資源保護のために漁獲量が制限されることは間違いない。
IUCN(国際自然保護連盟)のHP
奄美大島でクロマグロの養殖を行っている中谷水産と、近畿大学水産研究所奄美実験場の二ヵ所の生け簀に入って撮影したことがある。前者はマグロのチェックと記録することが目的だった。後者は広告用の写真撮影だったが、撮影前日が大雨で水が茶色になり、1週間ほど延期になった。
水は多少きれいになったものの、養殖をしている海域は元々抜群の透明度ではない。バックの青に群れをたくさん入れて、と大手広告代理店のアートディレクターは要求。また、クロマグロは神経質で、稲光でもパニックになるらしい。そのためストロボも使えない。8年前のことだから、デジタルが主流になりつつある時代にもかかわらず、フィルムでの撮影依頼だった。
困難な撮影だったが何とか撮り終え、未現像のフィルムをアートディレクターは持って大阪に戻って行った。
それから約40日後、全日空の機内誌『翼の王国』に近畿大学の広告として掲載された。
完全養殖とはいえエサはサバやアジなので、人工飼料の研究もしているという。絶滅危惧種に指定されたことで、完全養殖が俄然注目を浴びている。現在は商社なども近畿大学から技術を学んで取り組んでいるようだ。このように絶滅危惧種が話題になると、いつも不思議に思うのはスケトウダラ(スケソウダラ)だ。タラコや明太子が市場に溢れてどんどん食べられているにもかかわらず、絶滅しないのだから…