大方洋二の魚って不思議!

写真を通して魚類の生態や海について考える

うえの 夏まつり

上野不忍池(しのばずのいけ)で「うえの 夏まつり」が開催されている。風鈴をたくさん吊るした「りんりん回廊」をテレビ中継していたので見てみたいと思ったが、連日の暑さで躊躇。しかし昨日(8/4)は猛暑日にならない予報だったので行ってみた。看板には「第75 江戸趣味納涼大会」とあるので、これが正式名称らしい。

うえの 夏祭りの看板

 

「りんりん回廊」は2か所あり、確かに風鈴の数は半端ではない。だが、この日は風が強く、ややうるさかった。風鈴は一つか二つが風流のようだ。

りんりん回廊

 

不忍池は蓮も有名。朝咲いて昼にはしぼむと聞いたことがあるが、まだ開いているのもいくつかあった。  

蓮の花。奥が不忍池弁天堂

 

屋台も結構出ていたが、開いてないところも多かった。どうやら縁日ということなので、夕方からなのだろう。他にも骨董市や猿まわしなども行われていた。特別会場では、プロレスも行われるようだ。

ずらり並んだ屋台

 

不忍池の中にある弁天堂へ行ってた。本堂から読経が。手水舎(てみずや、ちょうずや)で手や口を清めて中に入り、読経を拝聴。厳かな気分になって弁天堂を後にした。

確かに東京は猛暑日にならなかったものの、予想より日照時間が長かったため、気温以上に暑く感じた。日陰も少ないので、納涼ならば夜がおススメ。

不忍池弁天堂の手水舎と本堂

 

捕食の瞬間見れないのはなぜ?

弱肉強食といわれる海の世界。サメ類を頂点とする食物連鎖で多様な魚類が生活している。食性もさまざまで、魚類を捕食する魚も多い。にもかかわらず、捕食の瞬間はなかなか見られない。獲物をくわえたところを撮影できたのは、これまで10数回しかない。どうしてなのか考えてみよう。

カワハギを捕えたオキエソ(大瀬崎)

 

多くの捕食魚は、猛スピードで獲物に突進して丸のみするからだろう。丸のみできないほど大きな獲物の場合、横取りを恐れて岩のすき間などに隠れる、ということもある。隠れる前に出会えるかがカギになる。

クラカオスズメダイをくわえて隠れようとするニジハタ(奄美)

 

捕食の時間帯も関係しているのだろう。多くは早朝や夕方、夜に捕食するようで、潜る機会は多くない。しかも夜の場合、ライトの当たるところしか見えないので、なおさら出会うのは難しい。

夜、ユカタハタがミツボシクロスズメダイを捕らえた(タイ)

 

のみ込めないほど大きな獲物を捕らえ、しかも隠れる場所もない場合がいちばん遭遇しやすい。若いエソがヒレナガネジリンボウを捕らえ、のみ込めずにどうしようと戸惑っている場面に出会った。砂地なので、隠れるところはない。横取りされることもなさそうなので、弱るのを待っていたようだ。獲物を頭のほうからくわえればのみ込みやすいが、尾のほうからだとヒレやウロコが引っかかったり、逃げられてしまうため、くわえ直す必要がある。

ヒレナガネジリンボウが弱るのを待つ若いエソ(奄美)

 

エソがネズッポの仲間を捕らえたばかりのときに出会った。どうするのか見ていたら、小刻みに獲物をずらしている。約1分かけてのみ込みやすいほうに向けた。

上は尾のほうから捕らえたエソ。下は時間をかけてくわえ直した(奄美)

 

 

 

キツネフエフキ七変化

フエフキダイ科のキツネフエフキは全長約1mになり、鹿児島県以南の西部太平洋、インド洋に分布している。日本での生息数はあまり多くないが、海外ではよく見られる。顔は細長く、狐に似ていることでこの名がある。体色は白っぽいグレーで、模様はない。小型魚類や甲殻類などの底生動物をエサにしている。そんなキツネフエフキは、生き抜くためにさまざまな姿を見せてくれる。

単独で行動するキツネフエフキ(ラジャアンパット)

 

ごく稀にキツネフエフキの群れが見られる。どのようなタイミングなのかはわからないが、繁殖に関係がありそうだ。

キツネフエフキの群れ(ラジャアンパット)

 

単独でエサを狙うこともあるが、他の魚と協力して狩りをすることもよくある。特に多いのはカスミアジとの協力関係だ。協力といっても、相手のためを思ってということではない。狙われる小魚からすると、捕食者が多いほうが逃げづらいはずなので、単独で捕食するより効率がよいのだろう。

カスミアジと行動を共にし、時折海底で獲物を捕らえる(ラジャアンパット)

 

コモド諸島のあるポイントでは、キツネフエフキ、カスミアジ、マルクチヒメジの3種で狩りをするところを何度も観察している。これも先述のように、エサを効率よく捕獲できるのだろう。その際、キツネフエフキは信じられない体色に変化した。岩のすき間に小魚を追い込んだときだったので、興奮色なのかもしれない。

岩のすき間に小魚を追い込んで見せた興奮色(コモド)

 

カスミアジと一緒に狩りをしようしていたとき、なんとヘラヤガラがキツネフエフキの体に乗った。ヘラヤガラが得意とする〝隠れみの〟だ。キツネフエフキにとっては邪魔なだけで、何のメリットもない。しかたがないといった表情で、狩りに出発したのだった。

ヘラヤガラに乗られたキツネフエフキ(コモド)

 

「いきもの超ワールド展」

NHK「ダーウィンが来た!」が20周年ということで、国立科学博物館との共同企画の特別展「いきもの超ワールド展」が7/11より開催されている。「ダーウィンが来た!」、国立科学博物館どちらも関わりがあるので、見に行ってきた。

いきもの超ワールド展のポスター

 

夏休みとあって、親子連れで混み合っていた。「ダーウィンが来た!」で取り上げた動物の標本や映像で特徴や生態を体感してもらおう、という展示方法だ。その対象となる動物がとても多いため、全部を丁寧に見ると1日では終わりそうもない。

会場に入って最初の展示

 

ということで、興味ある動物、つまり魚類を優先して見ることに。でも魚類はさほど多くなかった。

大型モニターでさまざまな動物の映像が

 

アマミホシゾラフグ&ミステリーサークルのコーナーもあったものの、とてもスペースが狭い。「ダーウィンが来た!」で放送された映像の一部を1分30秒にまとめ、小型モニターで映写。その下にはアマミホシゾラフグの標本もフォルマリン漬けで展示されていた。国立科学博物館所蔵とあったので、20145月新種記載に必要なため魚類学者らと一緒に採集したものだ。このときは雌雄1尾ずつ採集したので、そのうちの1尾。フォルマリン漬けながら、上野で見られるとは、感慨深いものがある。

アマミホシゾラフグのコーナー

 

深海を撮影した8Kカメラも展示してあった。

この特別展には、次のようなキャッチコピーがある。「標本と映像で学ぶ! 知れば知るほど面白い! いきものたちの〝生き残り術〟」。確かにじっくり見ればしっかり身に付きそうだが、混雑し過ぎて集中できない。10月12日まで開催しているので、混み合う時期を避けてまた行ってみたいと思った。

右が8Kカメラで、左がブリンプ(防水用ハウジング)

 

クロモンガラの生態

モンガラカワハギ科のクロモンガラは全長約20cmになり、伊豆半島以南の西部太平洋、インド洋に分布しているが、岩手県での記録がある。体色は茶色味がある黒で、口先と胸ビレが黄色。尾ビレは白だが、先端のほうは淡い赤紫色をしている。

クロモンガラ(座間味)

 

繁殖期は初夏から夏で、オスがガレ場に産卵床をつくり、メスを誘って産卵する。モンガラ類は卵の世話をメスが行う。その理由は、産卵は早朝でその日の夜にふ化するため、負担はさほどかからないから、と考えられる。クロモンガラも例外ではないだろう。

卵の世話をするクロモンガラ(座間味)

 

卵保護中の様子を接近して撮影していたら、突進してきて追い払われた。

追い払おうと突進してきたクロモンガラ(座間味)

 

パプアニューギニア(PNG)でもクロモンガラの繁殖に関する行動が観察できた。たぶん雌雄と思われる2尾が一緒に行動していた。

ペアと思われるクロモンガラ(PNG

 

この2尾は進展がなかったため、別のポイントへ。すると、卵を世話している個体がいた。当時のログブックには、産卵床付近に2尾いて、片方がホバリングしながら胸ビレで卵をあおっていた。もう片方は外敵を追い払う役目をしていたが、同じ画角には入らなかった、と書かれていた。クロモンガラ自体、生息数はそう多くないうえ、卵保護が短時間にもかかわらず、何度も観察できたのはラッキーだった。

なお、クロモンガラを食用にすることは少ないが、シガテラ中毒によく似たパリトキシン中毒を起こすことがあるので注意が必要だろう。毒性のイワスナギンチャクを食べることがあるかららしい。

ホバリングして卵の世話を行うクロモンガラ(PNG

 

ミツボシクロスズメの〝ホシ〟談義

スズメダイ科のミツボシクロスズメダイは全長約15cmになり、千葉県以南の太平洋、インド洋に分布している。体色は黒で、白の斑紋が体側と頭部にあり、全部で3つなので〝ミツボシ〟になった。体側の模様の数を和名に付けることはよくあるが、通常は片側だけ。頭部の斑紋がどちらからでも見えるため、しかたなく全部を合わせたのだろう。苦肉の策といっていい。

約2cmのミツボシクロスズメダイの幼魚(奄美)

 

ミツボシクロスズメダイと呼べるのは幼魚期だけだ。というのも成魚になると頭部の斑紋は消えてしまうからで、さらに老成すると全部なくなってしまう。幼魚でもやや大きくなると、頭部の白斑は小さくなる。

マバラシライトイソギンチャクに住む大小の幼魚(奄美)

 

成長すると、体色は黒からグレーになり、頭部の白斑は消える。体側の白斑も小さくなる。住み場所もいろいろで、幼魚期はイソギンチャクをよりどころにすることが多かったが、サンゴや岩などのそばに移動する。とはいえ、イソギンチャクを好む個体もいる。

〝ミツボシ〟ではなくなった成魚でもイソギンチャクが好み(柏島)

 

繁殖期は初夏から夏。あまり派手な繁殖行動は見られないが、オスが岩肌をきれいにし、メスを誘って産卵する、というパターンだ。

産卵中のオスとメス(奄美)

 

老成すると白い斑紋はなくなるため、同じ体型のフタスジリュウキュウスズメダイとそっくりで、見分けがつきにくくなる。本種のほうがやや青っぽいのが相異点だろう。

ソメワケベラ幼魚のクリーニングを受ける老成魚(奄美)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ナンヨウキサンゴについて

キサンゴ科のナンヨウキサンゴは、ちょっと変わったサンゴの仲間。樹木のような形状で、大きさは約150cmになる。色は黒や深緑。サンゴ礁を形成する代表的なミドリイシ類とは分類的には離れており、暗所に生息するイボヤギに近い。紀伊半島以南の西部太平洋、インド洋に分布している。初めてナンヨウキサンゴを見たのはモルディブで、宝石サンゴにどことなく似ていたので、もしかしたら価値があるサンゴかなと思ったが、違っていた。

ナンヨウキサンゴ。枠内はイボヤギ(モルディブ、八丈島)

 

その後、パプアニューギニア(PNG)で見た。モルディブでは水深18mと深かったのだが、PNGでは78mだった。ハナダイ類などの小魚が隠れがとして利用していた。

小魚が利用するナンヨウキサンゴ(PNG

 

インドネシアのコモド諸島でのダイブクルーズに乗船してからは、南エリアのポイントでナンヨウキサンゴをよく見るようになった。水深6mくらいのところにいくつかあり、安全停止のときに必ず寄るようになった。コモドのものは緑色で、枝もがっしりしている。もちろん小魚が利用している。ハナダイ類が多いようだ。

ハナダイ類とナンヨウキサンゴ(コモド)

 

ナンヨウキサンゴは触手を出してプランクトンを捕えて栄養にする。そのため、潮が速くなると触手を出す傾向が高くなる。全体が触手を出すと、こんもりして違った印象になる。

触手を出したナンヨウキサンゴ(コモド)

 

サンゴ類の触手としては大きいほうで、長さは1cmくらいある。したがって通常のマクロレンズでもはっきりわかる。撮影していたら、ノコギリハギの幼魚が画面に入ってきた。

触手を広げたナンヨウキサンゴとノコギリハギ幼魚(コモド)