スズメダイ科のミツボシクロスズメダイは全長約15cmになり、千葉県以南の太平洋、インド洋に分布している。体色は黒で、白の斑紋が体側と頭部にあり、全部で3つなので〝ミツボシ〟になった。体側の模様の数を和名に付けることはよくあるが、通常は片側だけ。頭部の斑紋がどちらからでも見えるため、しかたなく全部を合わせたのだろう。苦肉の策といっていい。
約2cmのミツボシクロスズメダイの幼魚(奄美)

ミツボシクロスズメダイと呼べるのは幼魚期だけだ。というのも成魚になると頭部の斑紋は消えてしまうからで、さらに老成すると全部なくなってしまう。幼魚でもやや大きくなると、頭部の白斑は小さくなる。
マバラシライトイソギンチャクに住む大小の幼魚(奄美)

成長すると、体色は黒からグレーになり、頭部の白斑は消える。体側の白斑も小さくなる。住み場所もいろいろで、幼魚期はイソギンチャクをよりどころにすることが多かったが、サンゴや岩などのそばに移動する。とはいえ、イソギンチャクを好む個体もいる。
〝ミツボシ〟ではなくなった成魚でもイソギンチャクが好み(柏島)

繁殖期は初夏から夏。あまり派手な繁殖行動は見られないが、オスが岩肌をきれいにし、メスを誘って産卵する、というパターンだ。
産卵中のオスとメス(奄美)

老成すると白い斑紋はなくなるため、同じ体型のフタスジリュウキュウスズメダイとそっくりで、見分けがつきにくくなる。本種のほうがやや青っぽいのが相異点だろう。
ソメワケベラ幼魚のクリーニングを受ける老成魚(奄美)
































