大方洋二の魚って不思議!

写真を通して魚類の生態や海について考える

#生物学

祝 奄美大島 ダイビングエリア大賞

マリンダイビングウェブが企画した「マリンダイビング大賞2023」。全国のダイバーがお気に入りの海、気になっている海を投票で決めるランキングで、ベストダイビングエリア国内部門は奄美大島が1位になった。沖縄を抑えて…と思ったら、別に沖縄部門があった…

スジハナダイについて

ハタ科のスジハナダイは全長約14cmになり、伊豆半島以南の西部太平洋に分布している。エラ蓋付近から尾柄部まで赤帯が1本入っているのが特徴。やや深い岩礁域に生息している。高知の魚類相の調査、分類学の研究をされていた蒲原稔治博士により、1954年新種記…

プラネットアース新シリーズ

4/21(日)午後9時、NHKスペシャルでプラネットアースⅢが放送された。このシリーズはBBCとNHKの共同制作によるもの。第1回は「海の世界」で、これまでのシリーズでもすごいシーンばかりで感動したのを覚えているが、今回はさらに上回った。 プラネットアース…

第39回水中映像祭を見て

4/14(日)江東区文化センターに於いて、水中映像サークル主催の水中映像祭が開催された。今回上映されたのは、次の6作品。「あの日あの時」松村英典、「バリ島2023」岡野和之、「水中映像サークル会員の撮影機材」合同作品、「冬の大瀬崎」林保男、「SLOW M…

ヒメウツボの謎

ウツボ科のヒメウツボは全長約25cmになり、八丈島以南の太平洋、インド洋に分布している。1953年マーシャル諸島ビキニ環礁で得られた標本を基に新種記載された。日本では90年代に伊豆諸島や沖縄で撮影された写真がダイビング雑誌に載り、英名のゴールデン・…

シルエット写真の魅力 

影絵のようなシルエット写真は、見た瞬間心に残る。インパクトがあるからだ。色や質感は省略しているため、生物写真としては向かないが、普通の写真の中に1点入ると、かなり存在感を増す。水中写真の場合、海底から水面方向にカメラを向け、逆光状態で生物…

ミツボシモチノウオの繁殖生態

ベラ科のミツボシモチノウオは全長約20cmになり、屋久島以南の太平洋、インド洋に分布している。新種記載されたのは1853年で、日本で生息が確認されたのは130年後の1983年。沖縄・慶良間諸島で標本が採取された記録がある。だが、精査が進まなかったようだ。…

春はアケボノ・ハゼ

ようやく本格的な春が来た。この時季よく耳にする「春は、あめぼの」。枕草子の一節で、春は明け方が一番趣があっていい、という意味らしい。ということで、強引にアケボノハゼを取り上げる。 アケボノハゼはハゼ科で、全長約8cmになり、伊豆諸島以南の太平…

ハワイトラギスの生息場所

トラギス科のハワイトラギスは相模湾以南の太平洋、インド洋に分布している。全長約12cmになり、特徴は他のトラギス類と比べて模様に赤味があること、ホバリングする確率が高いことなど。新種記載は1900年だが、日本の図鑑に登場したのは1984年のこと。その…

八重根のアーチ

3/20(水)写真展『海で逢いたい』が無事終了した。知り合いの来場者には10数年ぶりという人も複数いた。写真展をフェースブックなどのSNSで知ったというので、イマドキだなと思い、こうした催しはやはり大切なことだと感じた。 3/16(土)は会場内でのレセ…

さわやか自然百景

3/17(日)NHK『さわやか自然百景』は、鹿児島県の沖永良部島だった。かなり海中シーンが多かったので、誰が撮影したのか楽しみに見ていた。 さわやか自然百景のタイトル 沖永良部島は地形がダイナミックな部分もあり、アーチが見られるのも特徴。 ダイナミ…

第27回「海で逢いたい」東京展開催!

標記写真展が3月15日(金)より始まった。今回は巡回展の神戸展は1か月前に開催。こんなに間が空くことはなかったため、やや戸惑った感じがした。 海で逢いたい東京展の案内状 それでも初日の10時前から関係者や有志が集まり、設営を行った。展示作は神戸展…

フタホシタカノハハゼの体色

ハゼ科のフタホシタカノハハゼは、奄美大島以南の西部太平洋、インド洋に分布し、内湾の砂泥底にテッポウエビ類と共生している。全長約8cmで、焦げ茶色の不規則な斑紋が全体に広がり、頬に細長くて黒い斑紋二つあるのが和名の由来。日本に生息が確認されたの…

アデウツボについて

ウツボ科のアデウツボは全長約100cmになり、相模湾以南の西部太平洋、インド洋に分布している。あまり出会えないが、図鑑によれば100m前後の深いところに生息しているとのこと。日本に分布していることがわかったのは、80年代中ごろだった。口の中が鮮やかな…

人気の被写体・ヨスジフエダイ

フエダイ科のヨスジフエダイは全長30cmになるようだが、通常見れれるのは20cmくらいのものが多い。千葉県以南の西部太平洋、インド洋に分布する。主にサンゴ礁の周辺で群れている。黄色味が強いため海中でよく目立つうえ、さほど警戒心は強くないので絶好の…

ムスメベラの分布と生態

ベラ科のムスメベラは全長約22cmになり、千葉県以南~台湾、ニューカレドニア、オーストラリア南東部、ニュージーランドに分布する。琉球列島も分布に入っているが、奄美や沖縄では見た覚えがない。このことから高水温が苦手な温帯域のベラではないかと推察…

シャチが流氷に!

衝撃的な映像が飛び込んできた! 6日(火)午後6時のNHKニュースで、シャチが流氷に閉じ込められたというのだ。場所は北海道の羅臼沖。午前10時ごろに海上保安庁に連絡があったという。 NHKニュースより この時季流氷は風の影響で、北海道の東岸に流れ着く。…

砂にまぎれるカレイの仲間

砂地に生息する魚で、最も知られているのがヒラメやカレイだ。体は平べったくて、砂の色とよく似ている。それも生息場所の砂に合わせられるため、カムフラージュ効果は抜群。したがって、見つけたときの感動は大きい。 ダルマガレイ科のチカメダルマガレイは…

花魁ショー!?

ハゼ科のオイランハゼは全長約12cmになり、屋久島以南の西部太平洋、インド洋に分布している。内湾の浅瀬の砂泥底にテッポウエビ類と共に生息している。体側には赤茶の縞模様、顔周辺にはピンクや水色の斑点、背ビレにもピンクの楕円の模様があり、華やか。…

ウイゴンべについて

ゴンべ科のウイゴンべは房総半島以南の太平洋、インド洋に分布している。全長約19cmになるらしいが、通常見られるのは10cm前後が多い。同科は日本に14種分布しているが、本種が最も遊泳性がある。それは尾ビレを見ればわかる。湾入し、両端が糸状に伸び、色…

水中ストロボの役割

水中撮影するときストロボは必須だが、どのようなう役目があるのだろうか。地上で写真撮影するときにストロボを使う理由は、暗いところを明るくするためだ。水中の場合も明るくするためなのだが、もう一つ重要な理由がある。色を出すためだ。水中は、太陽光…

ダテハゼについて

ハゼ科のダテハゼは全長約12cm で、千葉県以南~屋久島、香港に分布している。沿岸の砂底にテッポウエビ類と同じ巣穴で暮らし、巣穴の修繕などはテッポウエビの役目で、ダテハゼは見張り役。したがって、テッポウエビが巣穴から出るときには、ヒゲはハゼの体…

映えるお年ごろ

魚類の多くは、幼魚から成魚になる過程で体色・斑紋が変化する。不思議なのは、幼魚期のほうが色鮮やかで目立つ場合が多いことだ。外敵から狙われやすい時期なのに、なぜ目立たつようになったのだろうか。もしかしたら食欲を減退させる働きがあるのかもしれ…

水中写真を使った年賀状2024

新年のあいさつをメールで交わすことが多くなった。時代の流れでしかたがない。だが、年賀状を手に取って直筆の文字を見ると、差出人との懐かしい思い出が蘇り、アナログは実にいいもんだと思う。今年いただいた年賀状は66通(1/10修正)’で、その中で水中写…

うみまーるカレンダー2024

今年も座間味島で活動している「うみまーる企画」のカレンダーが届いた。今回はちょっとした手違いがあり、受け取ったのは年が明けてから。というわけで、紹介は今になった。例年どおり5種類で、サイズやタイトルも同じ。いずれにも月の満ち欠けの図が入って…

タツが付く魚

今年の干支は「辰」なので、「タツ」が付く魚を取り上げてみよう。真っ先に思い浮かぶのはタツノオトシゴだろう。しかしタツノオトシゴの仲間はけっこう多いうえ、20数年前に分類的な整理を行った際に、幾種かに分かれた。その結果、タツノオトシゴの最大の…

2023年を振り返る(上半期) 

今年も残りわずか。2023年を振り返る時期になった。そこで、自分にかかわる出来事を上半期から振り返ってみたい。最初は、26回目になる写真展「海で逢いたい」神戸展。メインは東京展だが、巡回展のほうが先になってしまったのは、単に会場の都合。今回の出…

海のカレンダー2024

今年も来年の海カレンダーをいくつかいただいた。まずは、写真展「海で逢いたい」メンバー有志で制作している「煌めきの海」と「ときめきの海」。この中でよかったと思う写真を取り上げたいが、その前にカレンダー用写真について考えてみたい。カレンダーは1…

ミナミホタテ改めホタテウミヘビ

ウミヘビ科のホタテウミヘビは、東京湾以南の西部太平洋、朝鮮半島沿岸に分布し、砂泥底に生息している。全長約1mになる。5年前までは、ホタテウミヘビとミナミホタテウミヘビは混同されていた。図鑑ではホタテウミヘビの分布は東京湾~鹿児島で、ミナミホタ…

ナショジオ写真家が教える撮影術

先日配信されたナショナルジオグラフィックのメールマガジンに、ナショジオ写真家が教える撮影のコツという特集があった。人物、夜景の次が水中だった。水中は、ナショジオ契約カメラマンのジェニファー・ヘイズ氏が文章と作例写真を担当している。 最初の写…