ハゼ科のクロオビハゼは全長約10cmになり、沖縄本島以南の西部太平洋に分布している。生息場所は内湾の砂泥底で、テッポウエビ類と共生しており、巣穴の上でホバリングしている。体色は背中側が灰色で、腹部側が白。目のうしろから尾柄部まで褐色の帯が走っている。
砂泥底が生息場所のクロオビハゼ(西表)
新種記載されたのは1983年で、上皇が皇太子時代にもう一人の学者と連名で記載している。本種には黄色いタイプもいるが、当初は別種とされていて、ヒメコガネハゼという名だった。現在は同種の黄化個体とされている。
黄色いタイプ(西表)
本種を観察・撮影したのは西表島とコモドだけだが、黄色いタイプが多いことに気づいた。数多く見たわけではないが、4割くらいは黄色いタイプだった。それに黄色いタイプは、褐色の帯が薄い傾向があった。
黄色いタイプは褐色の帯が薄い(コモド)
先述のように、本種の生息場所は砂泥底なので、ハゼ自体のホバリングやテッポウエビが砂を運び出すときに濁りがじんわり広がってしまう。きれいに撮るには接近するしかないが、そうするとハゼは引っ込んでしまうし、テッポウエビも出てこない。痛しかゆしだ。できるだけ濁りが少ない条件の良い日を選び、素早く撮るしかないようだ。
やや接近して撮ったクロオビハゼ(西表)