ハゼ科の中には、テッポウエビ類と共生する種もいる。そうしたハゼは「共生ハゼ」、テッポウエビは「共生エビ」という。前者は日本に約70種、後者は17種確認されている。共生ハゼを撮影する際、その生態的特徴からテッポウエビも一緒に写すことを心掛けている。時にはどちらもペアという場合もあり、なんとなくうれしい。
ハチマキダテハゼとニシキテッポウエビ(奄美)
共生ハゼと共生エビは、互いに相性のようなものがあるようで、組み合わせが決まっている場合が多い。ヤシャハゼの相手は概ねコトブキテッポウエビだ。
ヤシャハゼとコトブキテッポウエビ(座間味)
内湾の砂泥底に生息するギンガハゼは、体色が白と焦げ茶のぼやけた縞模様のタイプと、全身黄色のタイプがいる。
黄色のギンガハゼと並んで出てきたニセオニテッポウエビ(ラジャアンパット)
共生ハゼは、通年ペアでいる種と繁殖期のみペアになる種がいる。後者の場合でも、産卵後はすぐに離れてしまい、巣穴から姿を見せるのは常に単独というものもいる。
常にペアでいるヒメダテハゼとコシジロテッポウエビ(座間味)
1991年、宇和島在住の友人が柏島で未記載種の共生ハゼを発見。すぐに撮影に行ったが、警戒心が強くて撮れなかった。翌年は生息数が増えたためか、撮りやすくなった。この共生ハゼは94年にハゼの学者と友人の連名で新種記載され、キツネメネジリンボウと命名された。
共生ハゼ&共生エビを撮るには粘ることが肝心。だが2ペアを撮るには、粘りプラス運も必要。片方が単独ということもあるからだ。