ハゼ科ダテハゼ属のクビアカハゼは、全長約6cmになる。相模湾以南の中・西部太平洋、インド洋に分布している。砂底や砂礫底にテッポウエビ類がつくった巣穴で暮らす、いわゆる共生ハゼ。赤茶色のはっきりした横帯が6本あり、目の下にも同色の帯が特徴。共生相手はコシジロテッポウエビの場合がほとんど。
クビアカハゼのペアとコシジロテッポウエビ(座間味)
クビアカハゼを撮っていて気になったことがある。巣穴近くで見張りをしているとき、大抵石の上に乗っている、というより寄りかかっている。他の共生ハゼは、ホバリングするタイプ以外は砂底に直接着底しているので、何かワケがありそうだ。最初はたまたまかなと思っていたが、手持ちの写真を確認したら、ほとんどがそうだった。
ペアが別々の石に寄りかかっている(奄美)
推察すると、目の位置を高く保ち、周囲の状況を把握したい。そのうえ伝達として使うエビのヒゲが届く位置ということなのかもしれない。もしそうなら、見張り役として理想的だ。
クビアカハゼとコシジロテッポウエビ(座間味)
本種は単独でいる場合とペアの場合がある。共生ハゼは通常期を単独で過ごし、繁殖期にペアになるケースが大部分。本種もそうなのだろうが、奄美でまだ水温が低い4月なのにペアでいた。
ペアで一つの石に並ぶ(奄美)
本種は伊豆半島でも記録があるが、おそらく幼魚に違いない。成魚が見られるのは和歌山県か高知県あたりだろう。高知県の柏島で撮ったことがある。
本種は海外であまり見た覚えがない。それで今回チェックしてみたらコモド諸島で撮った写真があった。やはり小石に寄りかかっていた。本種の石へのこだわりは生半可ではないようだ。
なぜかオトメハゼと一緒のクビアカハゼ(コモド)