大方洋二の魚って不思議!

写真を通して魚類の生態や海について考える

2020-10-01から1ヶ月間の記事一覧

地域変異から別種に・オグロトラギス編

同種でも、海域によって模様などが異なる場合がある。地域変異という。分類学の進歩に伴い、地域変異だったものが別種になった例が多くある。ここではオグロトラギスを見てみよう。トラギス科のオグロトラギスは、琉球列島、西部太平洋の熱帯海域に分布し、…

スミツキトノサマダイのこと

チョウチョウウオ科のスミツキトノサマダイは、相模湾以南の西部太平洋に分布している。全長約15cmで、主にサンゴ礁にペアまたは単独で生息し、サンゴのポリプを主食にしている。 スミツキトノサマダイのペア(座間味) 幼魚は内湾のサンゴのすき間にいるこ…

沖縄県魚・タカサゴ

沖縄の県魚は、タカサゴ科クマザサハナムロ属のタカサゴ。同属にタカサゴ、クマザサハナムロ、イッセンタカサゴ、ニセタカサゴの4種がおり、これらを沖縄では「グルクン」と呼んでいる。タカサゴの特徴は体側に黄色の細い縦帯が入っていて、尾ビレの先端に黒…

青と黄の魚

魚の体色・斑紋はさまざま。そこで青と黄の魚だけ集めてみたら、意外に多いことがわかった。まずはソメワケヤッコ。名前のとおり半分に染め分けられている。警戒心がやや強く、サンゴや岩陰伝いに移動する。 ソメワケヤッコ(奄美) ハナヒゲウツボは体が青…

ホタテツノハゼ晴れて新種に!

ハゼ科のホタテツノハゼが新種になった。といっても1年前の話だが…。 オーストラリアのアレン博士らが記載し、学名は Tomiyamichthys emilyae と付けられた。そもそもホタテツノハゼは、約40年前に和歌山県田辺湾の水深14mの砂底より1個体だけ採集された。84…

大島で初観察した繁殖生態

17日の「ブラタモリ」も伊豆大島の続編だった。ということで、こちらも続編。伊豆大島でフォトセミナーを何度か行った後も個人的に行ったので、そのとき初めて観察した産卵行動を取り上げてみたい。 偶然にコガネスズメダイが産卵している場面に遭遇した。砂…

アケボノハゼの魅力

クロユリハゼ科のアケボノハゼは、静岡県以南の西部太平洋、インド洋に分布している。全長は約7cm。新種記載されたのは1973年。日本では80年ごろ沖縄で生息が確認され、ハゼマニアの間では学名(種小名)の「デコラ」と呼ばれていた。84年発刊の『日本産魚類…

ヨコシマクロダイの成長過程

フエフキダイ科のヨコシマクロダイは、伊豆半島以南の西部太平洋、インド洋に分布する。成魚は主にサンゴ礁域の岩陰で見られ、あまり動かない。全長60cmになるらしいが、多くは40cm前後。老成した成魚を見ると、どこが「ヨコシマ」なんだと思ってしまう。 約…

懐かしい大島の生きもの

10日放送の「ブラタモリ」は、伊豆大島の火山がテーマだった。案内役として登場したのは、ナント西谷香奈さん。昔、ダイビングガイドをされていて、一二度ガイドしてもらったことがあった。ということで、そのときの写真を… ブラタモリに出演の西谷香奈さん…

浮遊型クリーナーシュリンプ

小さくて透明なエビが岩穴でホバリングしていることがある。ハタ類などが来ると飛び移ってクリーニングする。最初に撮影したのは座間味島で82年。ペンタックス初使用のときなのでよく覚えている。ユカタハタに付いたところを撮ったのだが、写真は残っていな…

トモシビイトヒキベラについて

1995年、伊江島でイトヒキベラの仲間を撮影した。ヒレを広げると、背ビレと尻ビレがオレンジ色なのだ。3か月後、「伊豆海洋公園通信」(95年10月号)に日本初記録として記載され、トモシビイトヒキベラと命名された。背ビレのオレンジが「灯火」みたいという…

南限を越えた魚たち

温帯域の魚類は屋久島付近が南限とされ、サンゴ礁域の魚類は奄美付近が北限とされている。つまり、屋久島と奄美大島の間には生物の境界線があるのだ。とはいえ、黒潮が流れているため、サンゴ礁域の魚が北へ分布を広げているのは確か。一方、温帯域の魚が南…