1995年、伊江島でイトヒキベラの仲間を撮影した。ヒレを広げると、背ビレと尻ビレがオレンジ色なのだ。3か月後、「伊豆海洋公園通信」(95年10月号)に日本初記録として記載され、トモシビイトヒキベラと命名された。背ビレのオレンジが「灯火」みたいというのが由来。
トモシビイトヒキベラのオス(95年、伊江島)
その後、奄美でも見るようになった。ただし外洋に面したポインントで、内湾の静かなポイントには生息していない。幼魚は礁斜面などの岩陰にいることがわかった。幼魚はあずき色で、体側に細い白線や点がある。
トモシビイトヒキベラの幼魚(約4cm、奄美)
さらに成長すると。体の色が緑がかってくるので、くすんで見える。生息数は多くないので、出会えたらラッキーという感じだ。
トモシビイトヒキベラの若魚(約8cm、奄美)
本種のオスとメスの違いはあまりない。オスのほうがやや体が大きい程度。オスは複数のメスを支配するハレムを形成するようで、しょっちゅうヒレを広げて勢いよく泳ぎ、メスにアピールしている。ヒレのオレンジの形や大きさは、個体によって異なる。
メスに向かってアピールする婚姻色のオス(奄美)
メスに対してアピールすることが多いオスだが、まれに静かにしていることがある。そのときはとても地味で、そのギャップに驚かされる。
地味なときのオス(奄美)