大方洋二の魚って不思議!

写真を通して魚類の生態や海について考える

南限を越えた魚たち

温帯域の魚類は屋久島付近が南限とされサンゴ礁域の魚類は奄美付近が北限とされている。つまり、屋久島と奄美大島の間には生物の境界線があるのだ。とはいえ、黒潮が流れているため、サンゴ礁域の魚が北へ分布を広げているのは確か。一方、温帯域の魚が南限を越えるのは困難。しかし、なぜか奄美で温帯域の魚に出会うことがある。

奄美では一度しか出会ったことがないニシキベラ

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ずいぶん前、ダイビングイベントに、伊豆でよく潜っている知り合いが参加した。潜り終えたあと「奄美にオオスジイシモチがいるんですね」と言われた。「そんなバカな」と返して探してみたらいたので驚いた、いわくつきの魚。岩の下に56尾いたが、現在は確認していない。

伊豆では普通種のオオスジイシモチ(99年)

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浮遊するタイプのヨウジウオといえば、温帯域ではノコギリヨウジで、サンゴ礁域ではヒバシヨウジ。奄美ではどちらも見たことがなかったが、あるときノコギリヨウジがいたのだ。ヒバシヨウジは未だに見ていない。

ノコギリヨウジ

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タカノハダイ科のミギマキはたまに見ることがあり、それほどレアではない。ところが、タカノハダイは超レア。これまで出会ったのは二度だけしかない。

サンゴとタカノハダイの似合わない取り合わせ

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レンテンヤッコは伊豆諸島から小笠原に多い。伊豆半島から九州に至るまでも見られるが、沖縄には生息しない(座間味島での記録はあるが)。奄美ではわりあいよく見みられる。幼魚もたまにいるので、繁殖もしているのだろう。

この他にもイシガフグ、ハコフグカゴカキダイなども見ることがある。奄美は不思議な海だ。

レンテンヤッコのオス

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