大方洋二の魚って不思議!

写真を通して魚類の生態や海について考える

遠い海の近似種

日本の温帯域に生息する魚を、遠く離れた海外で出会うとなぜかうれしくなる。また、酷似しているが別種という魚にも出会う。きっとルーツは同じで、どのような経緯で別々になったのか興味が尽きない。今回はそのような魚を集めてみた。

オーストラリアのロードハウ(シドニーの東約770キロにある世界遺産の島)で潜ったとき、ミギマキを撮影したのだが、なんかちょっと変。口も赤くない。調べたら英名Crested Morwomg だった。

ミギマキの近似種

 

こちらが本物のミギマキ。もともと温帯域の魚で、伊豆半島や伊豆諸島でよく見られる。しかし、奄美では稀に見ることができる。

ミギマキ(奄美

 

キタマクラのようなフグもいた。体型はまったく同じで、縞模様もよく似ている。こちらはクラウントビーという英名だった。

クラウントビー。若い個体ほど縞模様が濃い

 

これがキタマクラ。縞模様の濃さなどは個体によって異なる。これはイソギンチャクエビにクリーニングをねだっている場面。

キタマクラ柏島

 

カゴカキダイにそっくりな魚もいた。ところが、調べたら同種だった。若干違う気もするが…。ロードハウは南緯30度で、サンゴ礁域と岩礁域の境目に当たる。日本の北緯30度は四国付近なので、やはり似たような環境だ。

今回取り上げた魚は熱帯域には分布していない。北半球と南半球の似たような環境下に、近似種や同種が生息していることに、驚きを隠せない。

左はロードハウのカギカキダイ。右は柏島カゴカキダイ