寅年ということで、トラと付く魚を…。ところが意外に少ない。トラウツボ、トラギス、トラザメ、トラフグの4種しかいない。そのうえトラザメやトラフグはダイビングではなかなか出会えない。トラザメは英語に直訳するとタイガーシャークになるが、実際の英名のタイガーシャークの和名はイタチザメなので、とてもややこしい。
トラウツボは、匂いを感知する器官の鼻孔(びこう)が筒状になっていることが特徴。図鑑での分布は太平洋~インド洋とかなり広いにもかかわらず、日本の温帯域でしか見たことがない。不思議だ。
トラギス科のトラギスは、全長約18cmになる。同科の中では温帯域に適応した種で、伊豆半島あたりでは普通種。
トラギス(大瀬崎)
警戒心が少なく、好奇心が強いことも特徴で、ゆえにかなり接近して観察や撮影ができる。
ダイバーとトラギス(大瀬崎)
トラフザメというサメがいる。トラフは虎と関係あるのか調べたら、トラフを漢字で虎斑と書き、虎毛(とらげ)ともいうらしい。つまり、虎の背中の縞模様のような毛色のこと。トラフザメは縞模様ではなく、斑点。どちらかといえばヒョウだ。ところが、幼魚期は縞模様ということでこの和名になったとか。
トラフザメ(マレーシア・シパダン)
魚ではないが、シャコの仲間で縞模様をしたのがトラフシャコ。個体によって縞模様の濃さが異なり、この個体はやや薄め。体色はオレンジっぽくて、より虎に近い。ちょうど巣穴を掘っているところだった。
「トラ」には酔っ払い、泥酔という意味もある。寅年でも大トラにならないよう気をつけよう。
砂をかき出すトラフシャコ(フィリピン・セブ島)