大方洋二の魚って不思議!

写真を通して魚類の生態や海について考える

#写真

スジハナダイについて

ハタ科のスジハナダイは全長約14cmになり、伊豆半島以南の西部太平洋に分布している。エラ蓋付近から尾柄部まで赤帯が1本入っているのが特徴。やや深い岩礁域に生息している。高知の魚類相の調査、分類学の研究をされていた蒲原稔治博士により、1954年新種記…

1990年 熱き時代

レトロブームのようだ。好景気に沸いたバブル時代の映像がテレビでよく流れている。確かに80年代後半は景気がよかった。バブルという言葉も、はじけて言われたように思う。80年代後半は「マリリンに逢いたい」「グラン・ブルー」「彼女が水着に着替えたら」…

第39回水中映像祭を見て

4/14(日)江東区文化センターに於いて、水中映像サークル主催の水中映像祭が開催された。今回上映されたのは、次の6作品。「あの日あの時」松村英典、「バリ島2023」岡野和之、「水中映像サークル会員の撮影機材」合同作品、「冬の大瀬崎」林保男、「SLOW M…

ヒメウツボの謎

ウツボ科のヒメウツボは全長約25cmになり、八丈島以南の太平洋、インド洋に分布している。1953年マーシャル諸島ビキニ環礁で得られた標本を基に新種記載された。日本では90年代に伊豆諸島や沖縄で撮影された写真がダイビング雑誌に載り、英名のゴールデン・…

東京スカイツリー物語 

NHK総合テレビで「新プロジェクトX ~挑戦者たち~」が始まった。第1回目(4/6)は「東京スカイツリー 天空の大工事~世界一の電波塔に挑む~」。世界一高い電波塔建設に挑む人たちの物語だ。とても感慨深く、そして懐かしく思いながら見た。というのも、以…

マリンダイビングフェア2024

4/5(金)より池袋サンシャインに於いて、マリンダイビングフェア2024が開催された。主催会社が代わって3回目で、コロナも収まったこともあり、出展社も入場者もだいぶ増えていた。ただ、海外のダイビングサービスがまだそこまで余裕はないようで、以前より…

シルエット写真の魅力 

影絵のようなシルエット写真は、見た瞬間心に残る。インパクトがあるからだ。色や質感は省略しているため、生物写真としては向かないが、普通の写真の中に1点入ると、かなり存在感を増す。水中写真の場合、海底から水面方向にカメラを向け、逆光状態で生物…

ミツボシモチノウオの繁殖生態

ベラ科のミツボシモチノウオは全長約20cmになり、屋久島以南の太平洋、インド洋に分布している。新種記載されたのは1853年で、日本で生息が確認されたのは130年後の1983年。沖縄・慶良間諸島で標本が採取された記録がある。だが、精査が進まなかったようだ。…

春はアケボノ・ハゼ

ようやく本格的な春が来た。この時季よく耳にする「春は、あめぼの」。枕草子の一節で、春は明け方が一番趣があっていい、という意味らしい。ということで、強引にアケボノハゼを取り上げる。 アケボノハゼはハゼ科で、全長約8cmになり、伊豆諸島以南の太平…

ハワイトラギスの生息場所

トラギス科のハワイトラギスは相模湾以南の太平洋、インド洋に分布している。全長約12cmになり、特徴は他のトラギス類と比べて模様に赤味があること、ホバリングする確率が高いことなど。新種記載は1900年だが、日本の図鑑に登場したのは1984年のこと。その…

八重根のアーチ

3/20(水)写真展『海で逢いたい』が無事終了した。知り合いの来場者には10数年ぶりという人も複数いた。写真展をフェースブックなどのSNSで知ったというので、イマドキだなと思い、こうした催しはやはり大切なことだと感じた。 3/16(土)は会場内でのレセ…

さわやか自然百景

3/17(日)NHK『さわやか自然百景』は、鹿児島県の沖永良部島だった。かなり海中シーンが多かったので、誰が撮影したのか楽しみに見ていた。 さわやか自然百景のタイトル 沖永良部島は地形がダイナミックな部分もあり、アーチが見られるのも特徴。 ダイナミ…

第27回「海で逢いたい」東京展開催!

標記写真展が3月15日(金)より始まった。今回は巡回展の神戸展は1か月前に開催。こんなに間が空くことはなかったため、やや戸惑った感じがした。 海で逢いたい東京展の案内状 それでも初日の10時前から関係者や有志が集まり、設営を行った。展示作は神戸展…

春季慰霊大法要

3月10日、東京都立横網町公園内の東京都慰霊堂に於いて、春季慰霊大法要が行われた。79年前の東京大空襲が3月10日ということで、毎年この日に行われている。この慰霊堂には、関東大震災(1923年9月1日)と東京空襲で犠牲になった163000体の遺骨が安置されて…

フタホシタカノハハゼの体色

ハゼ科のフタホシタカノハハゼは、奄美大島以南の西部太平洋、インド洋に分布し、内湾の砂泥底にテッポウエビ類と共生している。全長約8cmで、焦げ茶色の不規則な斑紋が全体に広がり、頬に細長くて黒い斑紋二つあるのが和名の由来。日本に生息が確認されたの…

映画『あの日のオルガン』

3/4(月)墨田区曳舟文化センターに於いて映画「あの日のオルガン」の上映会が行われた。この映画は、太平洋戦争末期、東京から疎開先の埼玉県で53人の子供たちとともに「疎開保育園」で奮闘する保母たちの姿を描いたもので、実話を基に制作された。 上映会…

東京マラソン2024

3月3日(日)東京マラソン 2024が開催された。近くの蔵前橋通りがコースになっている関係上、交通規制のチラシが配られるので何となく知っているが、さほど関心がなかった、昨年までは…。 東京マラソン2024のポスターとコース 今年は知人Nさんが出場すると年…

アデウツボについて

ウツボ科のアデウツボは全長約100cmになり、相模湾以南の西部太平洋、インド洋に分布している。あまり出会えないが、図鑑によれば100m前後の深いところに生息しているとのこと。日本に分布していることがわかったのは、80年代中ごろだった。口の中が鮮やかな…

人気の被写体・ヨスジフエダイ

フエダイ科のヨスジフエダイは全長30cmになるようだが、通常見れれるのは20cmくらいのものが多い。千葉県以南の西部太平洋、インド洋に分布する。主にサンゴ礁の周辺で群れている。黄色味が強いため海中でよく目立つうえ、さほど警戒心は強くないので絶好の…

第27回 写真展 「海で逢いたい」神戸展

標記の写真展が2/15~2/20までアートホール神戸に於いて開催中。 案内状 17日(土)見に行った。出品数は38点とかなり少なくなったものの、作品のレベルは向上していて。見ごたえがあった。諸事情により、神戸展は今回が最後になる。 会場の様子(1) 写真の…

あのころの主流は魚突き(2)

スピアフィッシング全盛の時代、素潜りで何度か水中銃を持ったことはあるが、水中カメラを使うほうが断然多かった。所属のクラブも写真や映像に力を入れていて、いろいろなカメラ・ハウジングを揃えていた。16mmシネグループもあり、わりあい安価に動画も撮…

あのころの主流は魚突き(1)

先日の全日本潜水連盟総会に出席された大部分の方は、連盟創立前後のダイビング事情を知らない世代だった。ダイビング界が歩んできた歴史を知ってもらいたいため、当時を振り返ってみよう。 ダイビングが一般的になり始めたのは60年代初頭。都内にダイビング…

全日本潜水連盟 総会

2月10日(土)、一般社団法人 全日本潜水連盟 会員総会が両国の国際ファッションセンターに於いて開催された。潜水指導団体そのものは自身の仕事とは直接関係なかったため、委任状を書いて欠席することが多かった。だが、数年前に講演を依頼された関係もあり…

ムスメベラの分布と生態

ベラ科のムスメベラは全長約22cmになり、千葉県以南~台湾、ニューカレドニア、オーストラリア南東部、ニュージーランドに分布する。琉球列島も分布に入っているが、奄美や沖縄では見た覚えがない。このことから高水温が苦手な温帯域のベラではないかと推察…

砂にまぎれるカレイの仲間

砂地に生息する魚で、最も知られているのがヒラメやカレイだ。体は平べったくて、砂の色とよく似ている。それも生息場所の砂に合わせられるため、カムフラージュ効果は抜群。したがって、見つけたときの感動は大きい。 ダルマガレイ科のチカメダルマガレイは…

花魁ショー!?

ハゼ科のオイランハゼは全長約12cmになり、屋久島以南の西部太平洋、インド洋に分布している。内湾の浅瀬の砂泥底にテッポウエビ類と共に生息している。体側には赤茶の縞模様、顔周辺にはピンクや水色の斑点、背ビレにもピンクの楕円の模様があり、華やか。…

ウイゴンべについて

ゴンべ科のウイゴンべは房総半島以南の太平洋、インド洋に分布している。全長約19cmになるらしいが、通常見られるのは10cm前後が多い。同科は日本に14種分布しているが、本種が最も遊泳性がある。それは尾ビレを見ればわかる。湾入し、両端が糸状に伸び、色…

水中ストロボの役割

水中撮影するときストロボは必須だが、どのようなう役目があるのだろうか。地上で写真撮影するときにストロボを使う理由は、暗いところを明るくするためだ。水中の場合も明るくするためなのだが、もう一つ重要な理由がある。色を出すためだ。水中は、太陽光…

ダテハゼについて

ハゼ科のダテハゼは全長約12cm で、千葉県以南~屋久島、香港に分布している。沿岸の砂底にテッポウエビ類と同じ巣穴で暮らし、巣穴の修繕などはテッポウエビの役目で、ダテハゼは見張り役。したがって、テッポウエビが巣穴から出るときには、ヒゲはハゼの体…

映えるお年ごろ

魚類の多くは、幼魚から成魚になる過程で体色・斑紋が変化する。不思議なのは、幼魚期のほうが色鮮やかで目立つ場合が多いことだ。外敵から狙われやすい時期なのに、なぜ目立たつようになったのだろうか。もしかしたら食欲を減退させる働きがあるのかもしれ…