大方洋二の魚って不思議!

写真を通して魚類の生態や海について考える

ニュースでクラカケエビス

8/28(木)NHK朝のニュースで、クラカケエビスを取り上げていた。千葉県の魚大好き少年がクラカケエビスを発見・採集し、北限記録が更新されたという話。図鑑によると、これまでの北限は高知県土佐湾だった。

クラカケエビス(座間味)

 

採集したのは15歳の秋山天汰クンで、鴨川港で魚類を採集しているとき、弱っているクラカケエビスがいたという。自宅の水槽に入れたが、死んだので標本にしたそうだ。

クラカケエビスを採集した秋山クン

 

そして、鵜原にある千葉県立中央博物館分館 海の博物館に標本を持ち込み、研究員の川瀬裕司氏に相談した。北限記録更新なので、種を特定する部分を測定して学術論文を書くことを勧められ、試行錯誤しながら川瀬氏と共同で書き上げ、今年4月に受理されたという。

秋山クンが採集したクラカケエビス

 

実は川瀬氏とは知り合いで、34年前に柏島一緒に潜っている。当時彼は学生で、カワハギ類を柏島で研究していた。11年後の2002年、東大で魚類生態研究会があり、出席したところ彼もいて、海の博物館に在籍していると知った。2011年に奄美大島でミステリーサークルをつくるフグを発見した際、NHKの自然番組に企画を出すには〝世界初〟のお墨付きがほしいため、川瀬氏に相談した。当時フィールドでフグを研究する学者はいず、カワハギ類はフブ目に属すのでそうしたのだ。川瀬氏が世界的に知られていないと断言してくれたお陰で説得力が増し、「ダーウィンが来た!」の取材が決まった。取材の途中、川瀬氏もロケ現場に来て調査していた。

秋山クンと川瀬氏

 

今回クラカケエビスが千葉県で分布が確認されたことは、黒潮の大蛇行による海水温の上昇が原因ではないかと川瀬氏は語っていた。

クラカケエビスは被写体としても優れていて、正面から撮ると、白い模様が眉毛のようでおもしろい。大好きな魚の一つだ。

クラカケエビスの正面顔(コモド)