大方洋二の魚って不思議!

写真を通して魚類の生態や海について考える

テングカワハギの習性

先日開催された上方水中映像祭りのプログラムに「あなたの水中写真見せて♪」があった。その中でテングカワハギの写真もあり、評判がすこぶるいい。


2ペアのテングカワハギ(座間味)                                             
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というのは、通常ペアでの行動が多いテングカワハギが、確か6尾くらいサンゴの間に入ってみんなこっちを見ていて可愛かったからだ。群れでいるのは珍しいようだが、実はそうでもない。








左がオス(座間味)
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群れる理由は後述するとして、テングカワハギはサンゴのポリプをエサにしているため、サンゴへの依存度はきわめて高い。したがってサンゴが壊滅すると、姿を消してしまう。腹部の出っ張っているところが黒いのはメスで、オスは黒地に白点、そしてオレンジも入っている。







幼魚は群れることが多い(水納島
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テングカワハギは縄張りを持つため、他の個体やペアが来ると追い払う、というのが一般的な行動。しかし、幼魚はそれほど縄張り意識が強くないので、3尾以上の複数で行動していることが多い。








ペアが集まって群れになる(座間味)
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成魚で群れるのは、夕方に近づいたころ。ねぐらを求めてペアが集まる習性があるのだ。この話は24年前に柏島でカワハギ類を研究している学生から聞いた。そういわれて観察すると、確かにそのような傾向だった。

 






ねぐらに移動中(座間味)                                              
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ねぐらを確保するのにそれまで敵対していたペアたちと協力するのには、それなりの訳があるのだろう。
先のカワハギ類を研究していた学生は、現在は魚類学者になって某博物館に在籍している。