大方洋二の魚って不思議!

写真を通して魚類の生態や海について考える

大島で初観察した繁殖生態

17日の「ブラタモリ」も伊豆大島の続編だった。ということで、こちらも続編。伊豆大島でフォトセミナーを何度か行った後も個人的に行ったので、そのとき初めて観察した産卵行動を取り上げてみたい。

偶然にコガネスズメダイが産卵している場面に遭遇した。砂地にある岩に産んでいた。この年は7月になっても水温が1617℃だったので、産卵期も遅れていたようだ。

産卵中のコガネスズメダイ939月)

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同じとき、マツバスズメダイも産卵していた。場所はコガネスズメダイと似たようなところ。メスは産卵を終えると離れ、オスはとどまって卵の世話をする。

産卵中のマツバスズメダイ939月)

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オスのところにまたメスが現れた。複数のメスが産卵することもあるので、同一個体かはわからない。オスとキスをした。そして産卵。また離れて少したってから来てキス、産卵を繰り返す。

キスをするマツバスズメダイ939月)

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94年以降は仕事の関係で他の海が増え、大島は遠ざかった。約10年後にダイビング雑誌の取材で訪れ、良さを再認識してまた行くことに。03年も水温が8月中旬で21℃前後だった。下旬にようやく23℃に上がり、産卵が見られ始めた。浅いところでミヤケヘビギンポが求愛していた。オスは婚姻色になってメスの周りを回りながら、隣に飛び移って受精する。

全長約3cmミヤケヘビギンポの産卵(038月)

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039月は夕方によく潜った。夕方はベラ類が盛んに求愛している。イトヒキベラオスの婚姻色やオス同士の側面誇示、メスへの求愛などを撮ったあと、産卵も撮れた。

産卵した瞬間のイトヒキベラ(039月)

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次はオハグロベラを狙った。婚姻色のオスが中層に浮いて体を震わせ、メスにアピールする。産卵準備ができたメスは浮かび上がる。あちこちで浮かぶので、絞るのが難しい。近寄りすぎても怖がってやめてしまうので、見極めが大事だ。産卵の瞬間は、ストロボのチャージが間に合わずに撮り損なってしまった。

オハグロベラの産卵上昇(039月)

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