大方洋二の魚って不思議!

写真を通して魚類の生態や海について考える

超個性的なヒラメ・カレイ類

ヒラメやカレイ類は平べったい体をしているうえ、片側に両目があるので実に個性的といえる。だが、さらに個性豊かなヒラメ・カレイがいるので選んでみた。まずはジャノメツキノワガレイ。全長約10cmで、20年前日本初記録になり、和名が付けられた。体側に目玉模様が三つ入っていて、いつも胸ビレを動かしているのが個性的。

胸ビレを動かしているジャノメツキノワガレイ(奄美

 

セイテンビラメは全長約20cmで、背ビレ前部の一部が長く、口先まで伸びる。それを上下に動かすことがあるため、エサである小魚を誘うのでは、と考えられている。しかし、実際に疑似餌としてエサを捕えたところを観察した例はない。

セイテンビラメ。白枠内は背ビレの一部を上げたところ(大瀬崎)

 

口の前からヒゲのようなものを出しているのはハタタテガレイ。全長約20cmになる。ヒゲのようなものは通常は隠しているが、危険を察知した際などに出す。威嚇のためらしい。ヒゲのようなものは背ビレの一部と書かれた図鑑もあるが、どう見ても背ビレから離れているので、別物だと思う。最も個性的なカレイだ。

とても珍しいハタタテガレイ(レンべ)

 

青い輪の斑紋がたくさんあるモンダルマガレイは、全長約40cmになる。砂地ではなく、ガレ場などにいることが多いのだが、とにかく活動的。よく泳ぐのだ。これまで移動中の本種に何度も出会った。

泳ぐのが得意なモンダルマガレイ(座間味)

 

ミナミウシノシタは全長約20cmになる。本種の「個性」は、見た目ではない。各ヒレの基部から毒液を出すことが知られている。何のために毒液を出すのかは不明だが、おそらく危険を感じたときだろう。たくさんいるヒラメ・カレイ類の中で本種のみなので、超個性的ということができよう。

ヒレの基部から毒液が出せるミナミウシノシタ(奄美