大方洋二の魚って不思議!

写真を通して魚類の生態や海について考える

一期一会の魚(その2)

03年にダイビング雑誌の取材で伊豆大島を訪れたとき、ソウシイザリウオに初めて出会った(数年後、イザリウオ差別用語とされ、カエルアンコウに改名)。岩の間にいたので、このようなアングルでしか撮れなかった。ハッキリした縞模様が特徴なのだが、模様が薄いタイプもいる。大きくなる種で、これは約25cmだった。南日本、西部太平洋、インド洋に分布する。
縞模様が薄いタイプのソウシカエルアンコウ伊豆大島、2003年)

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見慣れない回遊魚の群れが、砂地を移動していた。後日調べたらサバヒーだった。アジ科やサバ科ではなくサバヒー科で、分類上はニシンに近い。熱帯・亜熱帯海域に広く分布し、海外ではわりと重要な食用魚らしく、フィリピンや台湾では養殖も盛んだという。和名の由来は台湾の呼称とのこと。
日本ではあまり馴染みがないサバヒー(座間味、2005年)

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出会ってみたい魚の一つがハタタテガレイだったが、インドネシアのレンベで叶った。背ビレの一部が10数本糸状に伸びているのが特徴で、ふだんは背ビレに納めている。危機が迫ると出して脅すと考えられる。日本では高知県伊豆半島から採集例、観察例があるのみ。西部太平洋、インド洋に分布するが、生息数が極めて少ない。全長20cm。
ハタタテガレイ(レンベ、2006年)

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ナカモトイロワケハゼは石垣島の中本氏により発見され、01年に新種記載された。これまでに石垣島沖縄本島慶良間諸島で生息が確認されている。生息水深は35m以深といわれているが、座間味では25mの砂地にいた。
巻貝の殻に住んでいたナカモトイロワケハゼ(座間味、2010年)

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ウミテング科のウミテングはいろいろな海で出会っているが、近縁種のヤリテングはまったく縁がなかった。しかし、奄美で「ダーウィンが来た!」のロケのときに初めて遭遇した。黄色い棒のようなものは定点カメラと母船のモニターを結ぶケーブル。おそらく微量の電磁気に引き寄せられたと考えられる。ウミテングより体や吻が細長く、大きさは約10cmだった。
体が細長いヤリテング(奄美、2012年)

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