成魚で目玉模様を持つものは、基本的には幼魚期からある。チョウチョウウオ科のハシナガチョウチョウウオは、背ビレ後部に目玉模様が入っている。
ハシナガチョウチョウウオのペア(ラジャアンパット)
フサカサゴ科のハチは、背ビレのほぼ中央に目玉模様がある。通常は砂地にまぎれるように静止していて、背ビレも閉じているため目玉模様は目立たない。だが、何かの気配で泳ぎ出す際、背ビレや胸ビレを広げる。各ヒレのトゲには毒がある。
泳ぎ出し始めたハチ(大瀬崎)
マトウダイ科のマトウダイは、体の中央に目玉模様がある。弓矢の的に似ていることから「的鯛」といわれ、のちに今の和名になったらしい。食用魚としても人気があり、大西洋にも分布しているため、フランス料理の食材にもなっている。
トラギス科のヨツメトラギスは、両眼の後ろに1対の目玉模様があるが、あるのはオスだけでメスにはない。メスからオスに性転換する種なので、幼魚にも目玉模様はない。
本物の目は控えめなヨツメトラギス(奄美)
番外編として選んだのがダルマガレイ科のモンダルマガレイ。目玉模様のような斑紋が体全体に入っている。この模様は感情の変化で青く輝くこともあるので、何かの信号になっているようだ。
目玉模様は主に防御用として発達し、よりはっきりした模様を持つ種の生存率が高まったと考えられる。そうすると将来は目玉模様を持つ魚ばかりになりそうだが、たぶんそうはならない。非捕食者側だけ進化するわけではなく、捕食者側も進化するので、うまくバランスが取れるのだと思う。
目玉模様だらけのモンダルマガレイ(座間味)