日本に30種分布しているトラギス科。その中にヨツメトラギスがいる。全長約15cmで、南西諸島以南の西部太平洋、インド洋に分布し、ガレ場や岩場に生息している。
なぜこの名があるのかというと、目の後方に目玉模様(眼状班ともいう)があるからだ。しかし、目玉模様があるのはオスだけで、メスにはない。
目玉模様があるオス

目玉模様は、ベラ類やスズメダイ類などの幼魚にあることが多く、成長とともに消える。また、マトウダイやシモフリタナバタウオなどは成魚でも目玉模様はあり、オス、メスに関係ない。おそらくヨツメトラギスのケースはほかにないに違いない。
真上から見ると「ヨツメ」がよくわかる

目玉模様は、大切な目を守るためのカムフラージュといわれている。ヨツメトラギスの場合もそうだとしたら、なぜメスにはないのだろうか。
薄くなった目玉模様

オスを観察していると、目玉模様が薄くなることがある。もしかしたら、メスに対しての信号として使っているのではないだろうか。
ヨツメトラギスのメス

実際に求愛行動を観察して目玉模様の変化を確認してみたいのだが、生息数は多くない。オスとメスの出会うところさえ見るのは困難なため、実現していない。早く見てみたいものだ。