大方洋二の魚って不思議!

写真を通して魚類の生態や海について考える

魚が目を守る賢い方法 

動物にとって目は大切な感覚器官。哺乳類のほとんどは手があるため、危険を察知すれば目を覆うことができる。ところが魚は、目はむき出し、いざというときの手もない。そんな理由からだろう。魚の多くは模様で目を隠すという方法を選んだ。最も多いのは目に黒帯が通るもので、チョウチョウウオ類でよく見られる。 

イッテンチョウチョウウオ(座間味)

 

キンチャクダイ類も目を隠す模様のものがたくさんいる。タテジマキンチャクダイは、幼魚と成魚ではまったく模様が異なるにもかかわらず、どちらも外敵から目が見つからないようになっている。 

タテジマキンチャクダイの幼魚と成魚(座間味)

 

奇抜な模様で有名なモンガラカワハギも、目に黒い模様がかかっていて、わかりにくくなっている。 

モンガラカワハギ(座間味)

 

目と同じような黒点を体全体につけ、本物の目をそらそうとするものもいる。ミナミハコフグの幼魚だ。確かにどれが本物かわかりにくい。 

ミナミハコフグの幼魚(奄美) 

 

さらに凝っているのがニセの目玉を際立たせる方法。いわゆる目玉模様や眼状斑といわれるもので、外敵に注意を向けて本物の目を守る効果が狙い。 

シモフリタナバタウオ(座間味) 

 

目玉模様をつける魚は結構多い。チョウチョウウオ類の幼魚などだが、これらは本物の目から離れたところにある。ところが、ヨツメトラギスは本物の目の近く。くっきりしていて本物より目玉らしいので、紛らわす効果は十分ありそうだ。実はこの目玉模様があるのはオスだけで、メスにはない。したがって、立派な目玉模様を持つオスがよりモテルのかもしれない。

ヨツメトラギスのオス(奄美)