キンチャクダイ科の中で大型のグループがサザナミヤッコ属。サザナミヤッコ、タテジマキンチャクダイ、ロクセンヤッコ、アデヤッコの4種が日本に分布していて、約40cmに達する。同属の共通部分は、いずれも幼魚期は濃紺の地に白の縞模様があることだが、種によって縞模様の形が若干異なる。
サザナミヤッコの成魚(17年、座間味)
沖縄などのサンゴ礁域で、サザナミヤッコ属の幼魚ではタテジマキンチャクダイが最も出会う確率が高い。反対にサザナミヤッコには出会う機会がとても少ない。これまで海外も含めて6回くらいだ。ということで、出会った順に紹介しよう。最初に出会ったのはモルディブだった。
全長約10cmの幼魚(82年、モルディブ)
80年代から90年代にかけて座間味島によく行ってたくさん潜ったのだが、サザナミヤッコの幼魚には1度しか出会っていない。成魚は多いのにどうしてだろう。
約12cmの幼魚(89年、座間味)
黒潮に乗って本州に来る場合もあるようで、水槽で飼育するアクアリストから伊豆の港で採集した、という話を何度か聞いたことがある。そんなとき、東伊豆の富戸で出会うことができた。これまでで一番小さい個体だ。タテキンの幼魚に似ているが、「鼻筋」の白が本種の証。
約2cmの幼魚(98年、富戸)
インドネシアのラジャアンパットで出会ったこともある。入江のようなところだったが、まさかラジャアンパットにいるとは思いもしなかった。というのは成魚に出会った記憶がなかったからだ。いったいどこから来たのだろうか。
約2,5cmの幼魚(09年、ラジャアンパット)
コモドでは2回出会った。同じポイントだったので、同一個体かもしれないが…。コモドには成魚も多いので、幼魚を見てもそれほど違和感はなかった。とはいえ、総体的にはやはり見かける機会は多くない。幼魚期はダイビングしないようなところで過ごしているのだろうか。
約10cmの幼魚(17年、コモド)