魚類の多くは、幼魚から成魚になる過程で体色・斑紋が変化する。不思議なのは、幼魚期のほうが色鮮やかで目立つ場合が多いことだ。外敵から狙われやすい時期なのに、なぜ目立たつようになったのだろうか。もしかしたら食欲を減退させる働きがあるのかもしれない。
それはともかく、魚類の成長過程の中で最も映えるお年ごろを見てみよう。といっても誕生日は不明なので、大きさで選ぶことにする。
イロブダイは、幼魚期は白とオレンジだが、しだいに茶色っぽくなり、メスの体色、そして一部はオスの体色に変わる。全長3~4cmのころが最も映える。
全長約4cmのイロブダイ(奄美)
ヒレナガハギも成魚になると地味になるが、幼魚期は黄色が入って美しい。個体によって映える大きさが若干異なる。
全長約5cmのヒレナガハギ(座間味)
クロスズメダイの和名は、成魚の体色が由来。昔幼魚はあまりにも違うため別種とされ、キンセンスズメダイと呼ばれていた。全長5cmを超えるとしだいに黒ずんでくる。
モンガラカワハギは幼魚期でも成魚とさほど変わらないが、黄色の範囲が広いのできれいに見える。
全長約6cmのモンガラカワハギ(八丈島)
カンムリベラの幼魚は、観賞魚としても人気が高いのもうなずける体色だ。特にオレンジと黒の模様が目玉にも見える奇抜なデザインは、不思議というしかない。最も映える時期は2~4cmのころだ。
全長約3cmのカンムリベラ(座間味)