大方洋二の魚って不思議!

写真を通して魚類の生態や海について考える

潮流について

海には海流と潮流がある。海流は常にほぼ一定の方向に流れる。黒潮親潮が有名。一方潮流は、月の引力の影響で生じる流れで、時間によって方向が変わる。満月や新月のときに最も流れが速くなる。ダイバーにとって潮流はやっかいなものだが、海の生きものたちの暮らしには大切な現象だ。例えば、プランクトンを運んでくる、卵や仔魚を拡散してくれる、などなど。

海域によっては潮流が激しい場所もある(コモド)

 

コモド諸島でのダイビングでは、潮流が速いときにエントリーすることもある。釣りでも潮の動きがないと食わない、といわれるように、潮が速いほうが魚類が活発になるからで、捕食などエキサイティングな行動が見られる確率が高くなる。

島の陰から見る水面の激流(コモド)

 

潮流を動画で表現するのはやさしいが、静止画ではとても難しい。そこで、手っ取り早いのがダイバーの排気(泡)だ。流れがないときには真上に上がるため、排気の角度で強さを表現できる。

マンタを観察するダイバーの排気が流れている(コモド)

 

潮流がとても速いと、ダイバーの排気はバラバラになって横に流される。しかし、呼吸のしかたなのか、流れが複雑だからなのかはわからないが、バラバラにならず、ロープのような形になって流されることもある。しばらく見ていたが、上には行かずにどんどん長くなって横に移動していた。

排気がロープ状になって流れる不思議な現象(座間味)

 

コモドでも水深5mで安全停止をしている際、隣にいたダイバーの排気がロープ状になったことがある。

潮流は潮の満ち引きで起こるものだが、それぞれの海域や地形などによって微妙に異なるため、安全に楽しむには、現地ガイドの指示に従うことが大切だろう。

隣のダイバーの排気がロープ状に流れる(コモド)