大方洋二の魚って不思議!

写真を通して魚類の生態や海について考える

インドネシアへの思い(コモド編)

コモド諸島の玄関口はフローレス島のラブハンバジョー。バリからジェット機で約60分のところ(プロペラ機の場合+20分)。港からダイビングボートでコモド諸島へ向かう。最初にコモドダイブクルーズをしたのは089月。緑がない岩の島には生きものの気配は感じられないが、水面下に目を転じると正反対で、生命に満ち溢れた世界が広がっている。そのギャップに参ってしまった。

水面を境に生物がひしめき合うコモドの海(089月)

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コモドクルーズの特徴は、南北に移動しながら各ポイントを潜ること。北

エリア、中央エリア、南エリアと大別でき、それぞれ特徴がある。北エリアは通常のサンゴ礁で、水温が高めで透視度もよい。回遊魚なども多いことから人気のポイントがたくさんある。フローレス島から近いので、ボートもダイバーも多い。

海底に逃げる小魚を捕食するロウニンアジ(082月)

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一方南エリアは、オーストラリア方面からの栄養豊富な寒流の影響で、水温も透視度も低い。とはいえ魚影は濃く、深海に生息する生物が比較的浅いところで見られる。珍しいホヤ類やカイメン類が多いのもそのためだ。

通常のサンゴ礁とは異なる風景に現れたキスジゲンロクダイ(169月)

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絵になる被写体も多い。これはテーブル状サンゴとオオイソバナで、水深約10m付近にこうした光景がいたるところで見られる。

テーブル状サンゴとオオイソバナ(099月)

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マンタポイントは北エリアと南エリアにある。どちらもクリーニングステーションやエサを食べる場所がほぼ決まっているが、潮の関係で見られる数は異なる。

水面のプランクトンを食べているナンヨウマンタ(169月)

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中央エリアは北と南の特徴を合わせたような海だが、やや南の影響が強い。あるポイントにはクジャクベラの仲間がたくさんおり、時間帯によってオスがメスの気を引くためにヒレを広げて勢いよくダッシュすることがあり、このときが最も美しい。だが、とても素早いうえに近寄りすぎるとやめてしまう。動きを読んで駆け引きしながら何度も挑むしかない。早く駆け引きしたいものだ。

イエローフィンフラッシャーラス(109月)

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