大方洋二の魚って不思議!

写真を通して魚類の生態や海について考える

ハナビラクマノミの生態(前)

スズメダイクマノミ属は日本に6種分布している。クマノミが最も生息数が多く、次がハナビラクマノミだ。全長約8cmで、奄美大島以南の西部太平洋、東部インド洋に分布している。英名はピンク・アネモネフィッシュというように、体色はピンクあるいはオレンジがかったピンクをしている。外見的にはオスとメスの違いはわかりにくいが、メスのほうがやや大きい。クマノミ類は、オスからメスに性転換するので、それが理由のようだ。

センジュイソギンチャクに住むハナビラクマノミのペア(奄美

 

日本のハナビラクマノミが住むのはセンジュイソギンチャク、シライトイソギンチャク、ハタゴイソギンチャクの3種で、他の種に住むことはない。最も多いのがセンジュイソギンチャクで、このイソギンチャクに住む個体は体色が赤っぽくなる傾向がある。また、このイソギンチャクは、丸まることが多い。

丸まったセンジュイソギンチャクに(奄美

 

次に多いのがシライトイソギンチャクで、触手が細長いのが特徴。色はさまざまで、ピンクの場合もある。このイソギンチャクに住む個体は、白っぽくなる傾向がある。

シライトイソギンチャクに住む(奄美

 

シライトイソギンチャクは比較的大きいものもあるためか、たくさんのハナビラクマノミが住むことがある。おそらくみんな若魚なのだろう。

シライトイソギンチャクに住む多くのハナビラクマノミ(座間味)

 

ハタゴイソギンチャクは触手が細くて短いため、本体の形がわかりやすく、波打っているのが特徴。色は薄茶やピンクなどがある。水深5mより浅いところで見られるが、本種がこのイソギンチャクに住むことは少ない。

ハタゴイソギンチャクに住むハナビラクマノミ水納島