9月3日、奄美大島のマングースが根絶したと環境省が発表した。多いときには1万頭を超えるほどだったが、関係者の努力やさまざまな方策によって駆除できたことは、在来種が住みやすい環境に戻った、ということだろう。
正式な名はフイリマングースで、大きさは50cm前後。南アジアに分布し、肉食性で昆虫、カエル、ネズミ、ウサギなどを捕食する。1910年に沖縄本島にハブや野ネズミの駆除を目的にバングラディッシュより導入された。
奄美には1979年に沖縄より30頭が持ち込まれ、名瀬市内に放獣された。しかしながら当初の予測どおりではなく、在来種の被害が相次いだため、1993年より捕獲開始。2005年に特定外来生物に指定されるとさらに本格的に。マングース対策のプロ集団「奄美マングースバスターズ」を結成した。
その他にもマングース目撃情報の収集や自動撮影カメラ、捕獲ワナ、探索犬などさまざまな対策を実施し、2018年に最後の1頭を捕獲してから、生息の証拠となるものが見いだせないことで根絶宣言を出したとのこと。
目撃情報の告知ポスター
奄美大島ほどの広い面積での根絶は例がないという。それはともかく、なぜマングースが沖縄、奄美に移入されたのか。目的はハブの駆除とされているが、ヘビだけを食べる動物ならまだしも、主食は昆虫や小動物だ。おまけにマングースは昼行性で、ハブは夜行性。効果は期待できず、生態系だけが乱れることは小学生でもわかる。この「事業」には金の匂いしかない。利権が絡んでいるのだろう。また、沖縄から奄美に持ち込まれた件も納得できない。沖縄に移入して70年近く経っているので、効果がないことはわかっていたはずだ。生態系を壊し、回復のために膨大な労力と費用がかかるこのような誤った「事業」に、行政がかかわっていたことは間違いない。今後のために、今からでもしっかり検証する必要があるのではないだろうか。
人間の都合で翻弄され続けたマングース