大方洋二の魚って不思議!

写真を通して魚類の生態や海について考える

#生物学

謎多きウツボの生態

ウツボ科のウツボは茨城県以南~奄美大島、朝鮮半島南部、台湾北部に分布している。全長約80cm になり、黄色味を帯びた明るい茶色の地に、褐色の斑紋が不規則に入っている。岩礁域に生息し、岩のすき間や岩穴に生息するが、砂地などに出現することもある。鋭…

ZOOM初体験

11月上旬、アメリカの放送局「A+Eネットワークス」のプロデューサーより連絡があった。テレビ番組でミステリーサークルを取り上げたいので、画像を借りたいとのこと。メールをやり取りするうち、動画も貸すことになった。 きっかけは、2013年7月1日発行のイ…

初観察・クジラとエイの繁殖生態

11/24配信のナショナルジオグラフィックメールマガジンに、素晴らしい記事が二つ載っていた。一つは、ザトウクジラの出産が初観察されたという記事。2021年3月5日にハワイのラハイナ沖で研究者とナショジオの撮影隊が15時すぎにザトウクジラの群れを発見。撮…

高水温は苦手・ウマヅラハギ

カワハギ科のウマヅラハギは北海道~九州、朝鮮半島、中国沿岸、台湾、ベトナム、マラッカ海峡に分布。全長約30cmになる。明るい灰色と薄茶が混じったような体色で、不規則な暗色模様が現れることもある。カワハギと似ているが、体型は本種のほうが細長い。…

コロダイの最新事情

イサキ科のコロダイは伊豆半島以南の西部太平洋、インド洋に分布し、岩礁やサンゴ礁に隣接する砂地や転石帯に生息する。全長約60cmになり、明るい灰色の地に黄色い斑点が無数に入っているのが特徴。単独~複数でじっとしていることが多い。 コロダイの成魚(…

神戸へ

チンアナゴの日(11/11)、神戸へ行った。あでやっこ水中写真倶楽部の写真展を見るためだ。この写真展は長く続いていて、27回目になる。会場は元町のこうべまちづくり会館。 第27回あでやっこ水中写真展案内状 通常に行動できるようになったものの、海外はま…

食欲旺盛な魚たち

「食欲の秋」ということで、食欲旺盛な魚たちに登場願おう。藻食性の魚といえばハギ類、アイゴ類、ブダイ類、一部のスズメダイなど。藻はエサとしては大きくないので、しょっちゅう食べないと満腹にならない。そんなワケで、食べている姿はよく見られる。ブ…

ロクセンヤッコ 幼魚はどこ?

キンチャクダイ科サザナミヤッコ属のロクセンヤッコは、南西諸島以南の西部太平洋に分布している。全長は約45cmになる。同属は他にサザナミヤッコ、タテジマキンチャクダイ、アデヤッコなどが日本に分布し、すべてが大型で、特に本種が最も大きい。警戒心が…

バラフエダイの幼魚について

フエダイ科のバラフエダイは相模湾以南の太平洋、インド洋に分布し、全長約80cmになる。主な生息地はサンゴ礁域で、九州以北のものは幼魚と思われる。成魚も幼魚も肉食性で、魚類や甲殻類を食べる。幼魚期にスズメダイ類への擬態をすることが知られている。 …

野生生物写真コンテスト2023

10/20配信されたナショジオのメールマガジンで、ワイルドライフ・フォトグラファー・オブ・ザ・イヤー2023の受賞作が発表された。このコンテストは、ロンドン自然史博物館主催で、写真を通して保護が必要な野生生物の姿や、開発が自然にもたらす影響に目を向…

潜って見られるイカ

食卓に上るイカの多く(スルメイカ、ヤリイカなど)は、沖合や深海に生息するため、ダイビングではなかなか出会えない。そこで、比較的よく見られるイカを紹介しよう。 温帯域の砂地や転石帯ではボウズコウイカが見られる。コウイカの仲間で、体に甲羅(骨)…

海の中のアート 

ようやく秋らしくなった。あれほど「暑さ」を嫌っていたのに、ひんやりしてくると寂しさを感じるのはなぜなのだろう。 「芸術の秋」ということで、海の中で見られる、芸術っぽいものを探してみた。 ムチカラマツの先端にウミシダが付着し、まるでかざぐるま…

懐かしい想い出がテレビで

先日テレビを見て、昔の想い出が二つ蘇った。まずは10/6「チコちゃんに叱られる」。超ド級の「ド」は何?の問いに、解説で登場した白石光氏。実は1980年代中ごろ、一緒に働いたことがあるのだ。 超ド級の「ド」の意味を解説する白石氏(チコちゃんに叱られる…

尾ビレの色の意味(クマノミ編)

スズメダイ科のクマノミは全長約10cmになり、千葉県以南の中・西部太平洋、インド洋に分布している。数種のイソギンチャクを宿主にするが、アラビアハタゴイソギンチャクに住むと体色が黒くなる。通常、イソギンチャクには成熟したオス・メス1組と未成熟魚数…

尾ビレの色の意味(シマタレクチベラ編)

ベラ科のシマタレクチベラは全長約80cmになり、伊豆半島以南の中・西部太平洋、インド洋に分布している。サンゴ礁域のガレ場や転石帯に生息し、40cm前後の個体が多い。海底の砂利などの中に潜む小動物をエサにしているので、砂ごと吸い込んで捕食する。ヒメ…

尾ビレの色の意味(ニジハギ編)

ニザダイ科のニジハギは全長約30cmに達するらしいが、通常は20cmくらいが多い。相模湾以南の西部太平洋、インド洋に分布している。藻食性で、サンゴ礁域の浅瀬に生息している。縄張りを持ち、同じ食性の魚が来ると追い払う。鮮やかな体色が和名の由来だ。尾…

魚の知能はどのくらい?

賢い動物といえばチンパンジーやイルカで、魚類は知能が低いが定説だった。それに異を唱える研究者が10数年前から現れ、魚類の行動を観察したり実験を行い、優れた知能を持っていることが証明された。その成果はテレビや書籍などで発表されているので、一部…

ツユベラとその近縁種について

ベラ科カンムリベラ属のツユベラは、全長約30cmになる。相模湾以南の西部太平洋、東部インド洋に分布している。幼魚は赤い体に白の斑紋があり、観賞魚として人気が高い。成長とともに体色・斑紋は変化するうえ、メスからオスに性転換するため、体色変化は著…

ほぼ日本固有種のハゼ

ハゼ科キヌバリ属のニシキハゼ、リュウグウハゼ、チャガラ、キヌバリの4種は、北海道または青森から九州にかけて分布している。日本固有種と思いきや、朝鮮半島南部にも分布しているため、惜しくも固有種ではない。 ニシキハゼは全長約20cmになり、転石帯な…

敬老の日スペシャル

敬老の日ということで、長寿魚に登場願おう。平たくいえば老成魚だが、厳しい自然の中で長く生き続けることだけでも大変なので、敬意を表したい。 まずはハマクマノミ。幼魚期は白帯が3本あり、成長に伴って尾に近いほうから消える。最後の顔の白帯が消えた…

徳島の海とテンジクザメ

9/17のNHK「さわやか自然百景」は徳島・宍喰の海だった。黒潮の分流の影響でイシサンゴ類も多く、特にシコロサンゴがよく見られる。当然、熱帯系の魚類も多い。 9月17日の「さわやか自然百景」のタイトル また、この海には特徴的なことが知られている。ある…

超珍しいウミタナゴの生態

ウミタナゴ科のウミタナゴは全長約23cm(30cmの記録あり)になり、北海道中部以南九州、朝鮮半島南部、中国沿岸に分布している。藻場や岩礁域、砂地などに単独から数10尾の群れで行動している。以前から体色が若干異なるタイプが存在することが知られていた…

ルリスズメダイの地域変異

スズメダイ科のルリスズメダイは全長約7cmになり、伊豆半島以南の西部太平洋に分布している。主な生息場所はサンゴ礁の浅瀬で、九州以北で見られるものは幼魚と思われる。オスは全体が青で、目のところに黒いスジが入っている。ソラスズメダイと混同されるこ…

クロハコフグの生態(その2)

クロハコフグの繁殖期は5月中旬~7月。繁殖期以外は行動自体活発ではないため、ほとんどわかっていない。繁殖期になるとオスはサンゴ礁と砂地の境界付近を縄張りにし、16時過ぎから中層に浮かんでパトロールする。同種のオスの侵入を防ぐためと、縄張り内の…

クロハコフグの生態(その1)

ハコフグ科のクロハコフグは全長約16cmになり、伊豆半島以南の西部太平洋、インド洋に分布している。主な生息域はサンゴ礁で、九州以北で見られるのは幼魚と思われる。体色はオスとメスで異なり、メスは黒褐色の地に白点が全体にある。とても警戒心が強く、…

マンタの食事法

かつて「マンタ」はオニイトマキエイのことだったが、2008年2種に分類され、新たなほうはナンヨウマンタになった。オニイトマキエイは外洋性、ナンヨウマンタは沿岸性とのことで、ダイバーがよく出会うのはナンヨウマンタということになる。2種に分かれたと…

光芒を求めて

背景に光芒(こうぼう)が写っている水中写真が大好きだ。光芒とは、光のすじのこと。地上では、日が傾いたころに雲のすき間から日が射すときに光芒が見えることがあるが、写真に撮るのは難しい。その点、水中では比較的簡単。とはいえ、ただ単にカメラを太…

オトメベラの生態

ベラ科のオトメベラは全長約18cmになり、千葉県以南の太平洋、インド洋に分布している。サンゴ礁が主な生息場所だが、黒潮の影響が強い温帯域では成魚も多く見られる。幼魚は茶色で、背ビレと尾柄部に黒の斑点がある。 オトメベラの成魚と白枠内は約3cmの幼…

ソラスズメダイの生態

スズメダイ科のソラスズメダイは全長約8cmになり、茨城県以南の太平洋、東部インド洋に分布している。サンゴ礁域が本来の生息場所だが、分布を北に広げ、今や温帯域でも普通に見られる。体はきれいな青で尾ビレが黄色、そして尻ビレも淡い黄色だが、地域また…

体色多様なサラサハゼ

ハゼ科のサラサハゼは全長約10cmになり、伊豆半島以南の太平洋、インド洋に分布している。主にサンゴ礁域のガレ場に大抵ペアで生息し、岩などの下に巣穴をもっている。海底から数cm浮かんでゆっくり移動し、たまに海底の砂を口に含む。有機物や小動物を捕ら…