大方洋二の魚って不思議!

写真を通して魚類の生態や海について考える

#生物学

愛でタイ

古来、日本人に最も親しまれている魚は、マダイだろう。お祝いやお祭りには必ず尾頭付きが飾られる。「めでたい」という語呂合わせだけではなく、体型や色合い、味もよいことが人気の理由で、魚の王様と形容されることも多い。マダイはタイ科マダイ属で、同…

ネオンテンジクダイについて

テンジクダイ科のネオンテンジクダイは、奄美大島以南の西部太平洋に分布し、主に穏やかな内湾に生息している。全長約4cmで体は透明感があり、吻から尾柄部にかけて黒線がある。そして尾柄部の赤い斑紋が最大の特徴。 ネオンテンジクダイ(奄美 `06年) 本種…

遠い海の近似種

日本の温帯域に生息する魚を、遠く離れた海外で出会うとなぜかうれしくなる。また、酷似しているが別種という魚にも出会う。きっとルーツは同じで、どのような経緯で別々になったのか興味が尽きない。今回はそのような魚を集めてみた。 オーストラリアのロー…

クロスズメダイ 未知の生態

スズメダイ科のクロスズメダイは、奄美大島以南の西部太平洋、インド洋に分布する。全長約17cmになり、和名のとおり体色は黒い。正確にいうと、青味ががかった黒だ。やや内湾性で比較的浅いところに生息し、ウミキノコ類のソフトコーラルの近くにいることが…

キヘリモンガラについて

モンガラカワハギ科のキヘリモンガラは全長約60cmに達する。相模湾以南の太平洋、インド洋に分布している。成魚は主にサンゴ礁域に生息し、温帯域で見られるのは幼魚がほとんど。また、60cmの大型個体はなかなか見られない。通常出会うのは40cm前後。 キヘリ…

活動的で繊細なヒレオビウツボ

ウツボ科のヒレオビウツボは全長約50cmになり、高知県以南の太平洋、インド洋に分布している。新種記載されたのは1903年だが、日本では1990年代になって生息が確認されて和名が付いた。体色は紫がかった薄茶色で、体側には暗色の斑紋が入り、目の近くに白く…

アカヒメジの不思議

ヒメジ科は日本に25種分布している。同科の最大の特徴は、下アゴに2本のヒゲがあること。このヒゲを手のように使い、海底に潜むエサを探すことができる。ところが、アカヒメジだけはヒゲを使うところは見られない。アカヒメジの分布は房総半島以南の太平洋、…

好奇心旺盛  ニジハタ

ハタ科のニジハタは全長約25cmの小型種。相模湾以南の太平洋に分布しているが、成魚が普通に見られるのは奄美諸島以南で、主な生息場所はサンゴ礁。体色は赤で、後部は焦げ茶色をしている。尾ビレに白い線が2本あることが最大の特徴。この白線が「二」に見え…

謎多きウミテング

奇妙な姿をした魚は結構多い。ウミテング科のウミテングもその一つ。大きさは約8cmで、相模湾以南の太平洋、インド洋に分布し、主な生息場所は砂底。移動するときは胸ビレを広げ、細長い腹ビレを使って海底を這うように進む。最初に出会ったのは座間味島だっ…

改めてミノアンコウ

3月に開催した「海で逢いたい」東京展で、空いたスペースに過去に展示したパネルを飾った、ということは述べた。その中にミノアンコウもあり、かなり反響があったので、改めて説明をしたい。 ミノアンコウ。「海で逢いたい」に飾ったものと同じ写真(83年8月…

水納島の想い出(魚類編)

U夫妻が営むダイビングサービス「クロワッサンアイランド」は、かなり自由に潜らせてくれた。2回目に訪れたとき、好きな時間にボートを出すといってくれたので、日没直前にお願いした。今でこそサンセットダイブというジャンルがあるが、当時は夕飯の時間と…

水納島の想い出(人物編)

沖縄・本部半島の沖にある小さな島が水納島。その形から、クロワッサンアイランドと呼ばれている。この島でダイビングサービスを営んでいるU夫妻は、共に沖縄の大学のダイビングクラブ出身。何度か潜らせていただいたが、今年の年賀状に通常営業は昨シーズン…

ミカドチョウとトライアンギュラー

チョウチョウウオ科のミカドチョウチョウウオは、全長約15cmになり、駿河湾以南の西・中部太平洋に分布する。本州~九州での記録はほとんど幼魚で、成魚が見られるのは奄美大島以南。サンゴのポリプを専門に食べるため、サンゴ礁に依存している。 ミカドチョ…

ウニは絶好の隠れ家

ウニ類は、細長いトゲがあるために外敵から身を守れる。その利点を活用しようとする賢い魚たちもいる。そんな魚を取り上げてみよう。 ウニ類の中でもガンガゼは、トゲがより長いために魚が隠れられるスペースが広い。藻場に出ていたいくつかのガンガゼに、テ…

魚群を狩るジンベエザメ

魚類最大のジンベエザメは、プランクトンを食べるイメージが強い。ところが、イワシ類が密集してボール状になったところに突っ込んで狩りをすることがわかった。昨日配信された、ナショナルジオグラフィックのメールマガジンに映像が掲載されているのだ。 狩…

「海で逢いたい」東京展準備完了

水中写真展「海で逢いたい」Vol.25は、3月4日午後1時開催のため、朝から有志約20名が会場に集まり、準備を始めた。2年ぶりの開催なので、みんな張り切っていた。 準備中の会場 今回の出品数は、神戸展より18点多い45点。東京展のみ参加という方もいたためだ…

ウクライナ国旗色で抗議

日本時間の3月2日午前、米バイデン大統領が連邦議会の上下両院合同会議で、一般教書演説を行った。冒頭はウクライナ情勢で、ロシアを激しく非難した。出席者の服装に青や黄色が目立ったが、ウクライナ国旗の色。軍事侵攻したロシアへの抗議とウクライナ国民…

海で逢いたい神戸展

2/26に神戸展を見に行った。今回は出品数が少ないため、特別企画展として、ぼくの写真集より20点選んで展示している。 神戸展会場入口 今回は、コロナの感染者数が高止まりをしているなかでの開催のため、来場者数がどのくらいなのかまったくわからない。予…

14年前のNHKスペシャル

2/23は祝日のためNHKの放送は変則的。9時からはニュースではなく、NHKスペシャルだった。しかも2008年に放送しましたとのテロップが流れた。14年前の番組を見せるのか、とそのとき思ったが、タイトルの「映像詩」が気になって見ることに。 14年前の番組タイ…

写真展準備完了

昨年は中止を余儀なくされた写真展「海で逢いたい 」。今年はなんとか開けそうだ。開催か中止かの目安の一つが会場。緊急事態宣言などの理由で休館になれば中止せざるを得ない。ところが、感染対策をしつつ社会経済活動を回すという国の方針のため、公共施設…

ミヤコテングハギについて

ニザダイ科のミヤコテングハギは、相模湾以南の太平洋、インド洋、紅海に分布する。日本では奄美以南でよく見られる。全長は60cmに達するとされるが、出会うのは40~50cmが多い。以前は「ミヤコテング」という名で図鑑に載っていたが、その後「ミヤコテング…

2大洋味わえるタイ(太平洋編)

タイの東側は太平洋で、ダイビングで知られるいるのはサムイ島とタオ島だ。ただしサムイ島の周辺は砂地のため、滞在したとしても潜るのはタオ島付近になる。この二つの島がある海域は大きな湾(タイランド湾あるいはシャム湾と呼ばれる)で、やや閉鎖された…

2大洋味わえるタイ(インド洋編)

マレー半島の中央から北がタイで、インド洋と太平洋に挟まれている。二つの大洋に面している国は他にインドネシアやオーストラリアがあるが、手軽に潜れる点ではタイに軍配が上がる。そこで、タイのインド洋側と太平洋側の魚類相を比べてみたい。まずはプー…

Marine Diving Webに掲載

ダイビング情報サイト Marine Diving Webに「水中写真家 作品探訪」というページがある。編集者がそれぞれの写真家に撮影秘話を聞いたりしながら、数点の作品を掲載する連載ページ。先月下旬にインタビューされた記事と作品が、2/10に掲載された。 大方洋二…

シチセンチョウの分化を考える

チョウチョウウオ科は、ちょっとした模様の違いにもかかわらず、別種になっている場合が多い。それだけ分化が進んでいるといえるのだろう。同科のシチセンチョウチョウウオは、奄美大島以南の西部太平洋に分布する。全長約10cmの小型種で、ペアか単独で行動…

ヒレナガカンパチについて

アジ科のヒレナガカンパチは全長約150cmになり、相模湾以南、全世界の熱帯・亜熱帯域に分布している、と図鑑には書かれている。 全長約70cmのヒレナガカンパチ(奄美) 近縁種のカンパチは知られているが、本種はそれほどでもない。混同されている部分もある…

アカククリの成長過程

マンジュウダイ科のアカククリは、琉球列島以南の西部太平洋、アンダマン海、ペルシャ湾に分布し、サンゴ礁域に生息している。全長約35cmになり、単独あるいは数尾でいる場合が多いが、群れることもある。成魚を見ただけでは、なぜこの和名なのかがピンとこ…

1/30のNHK番組より

「さわやか自然百景」は北海道の積丹半島で、「北海道 積丹半島 冬」というタイトル。31年前に海中公園の取材で潜ったことがあるので、懐かしさを感じながら観た。 さわやか自然百景のタイトル 海底に海藻がまったくないのは、昔と同じ。磯焼け現象がまだ続…

仲良し! ナポレオンとカスミアジ

ベラ科のメガネモチノウオは全長約170cmにもなり、ベラ科では最大。英名でナポレオンフィッシュといい、こちらのほうが通りがいい。由来は、成魚になるとおでこが丸く盛り上がり、ナポレオンがかぶっていた軍帽に似ているかららしい。分布は琉球列島、太平洋…

完璧・ソウシハギの保護色

カワハギ科のソウシハギは、全長約75cm になる。相模湾以南の全世界の熱帯域に分布する。保護色の魚はたくさんいるが、幼魚、成魚問わず、保護色を巧みに活用しているのはソウシハギだと思っている。特に幼魚期のその術はすごい。 陰影をつけて流木の枝にな…