大方洋二の魚って不思議!

写真を通して魚類の生態や海について考える

深刻! 拡大する磯焼け

先日、相模湾磯焼け被害のニュースを見た。磯焼けとは、海底の海藻が枯死している状態のこと。いうまでもなく、魚類やその他の生物も激減する。 
 
 
磯焼けのニュースより
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磯焼けの原因は高水温、水質悪化などが考えられている。磯焼けが進んだ状態になると岩盤に海藻の一種の石灰藻が着生し、通常の海藻はつかなくなる。このような状態を「海の砂漠化」といい、今や世界中に広がっている。
 
 
 
 
 
 
 
積丹半島海中公園の黄金岬
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磯焼けや海の砂漠化のことを知ったのはずいぶん前のこと。'91年9月に全国の海中公園の撮影を依頼され、第一弾として北海道へ行ったときだった。北海道には小樽海岸海中公園と積丹半島海中公園の二ヵ所ある。
 
 
 
 
 
 
 
 
石灰藻で白くなった岩。小樽(左)と積丹半島海中公園
イメージ 3海中公園センター研究員のFさんと一緒潜って唖然とした。海中林を想像していたのだが、コンブはまったくなかったからだ。白っぽい岩にウニとイトマキヒトデがついているだけ。魚も見えない。ウニはたくさんいるものの、エサの海藻がないために中身は少なくて商品価値はないという。
 
 
 
 
 
 
景勝地の仏ヶ浦
イメージ 4水中撮影を2日、陸上撮影を1日行い、その足で青森県下北半島に渡った。下北半島には仏ヶ浦海中公園と鯛島海中公園の二ヵ所ある。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
仏ヶ浦海中公園でも磯焼け
イメージ 5ここも磯焼けで、3~4年前から始まったようだ。磯焼けの原因は、森林の伐採が大きく関わっているという。通常雨水は落葉や土を通り、河川、海へと注ぐ。その際栄養分、特に植物の生育に不可欠な鉄も一緒に流れ込む。樹木がなくなると雨水は直に海へ注ぐため、鉄が不足して海藻が育たなくなる。北海道や東北の漁業者は植樹をし、環境を取り戻しているという。
 
 
 
 
対策を定規する相模湾の漁業者(ニュースより)
イメージ 6相模湾ではウニも磯焼けの原因の一つと考えているようだが…。商品価値が減少して捕らなくなったから増えたので、ウニが悪いわけではない。現在では対策を練り、胞子をつけた海藻を海に沈めて再生を図っているという。早く回復することを願っている。