テレビのニュースで知ったのだが、駆除対象魚というのがいるらしい。アサリなどを食べるエイかと思ったら、藻食性のニザダイだった。理由は、海藻を大量に食べて海を荒らす魚だからとか。ニザダイにとっては、いい迷惑に違いない。昔から自然に生えている海藻を食べて生きてきたのだから。
ニザダイ。尾柄部の黒斑から通称「サンノジ」と呼ばれる(柏島)
それはともかく、捕獲されたニザダイは生け簀に入れられ、廃棄処分されるはずのキャベツをエサに「体質改善」させられ、すしネタになっているという。
すしになったニザダイ(JNNニュースより)画面のコメントは間違い
実はニザダイは臭みがある。新鮮なうちに血抜きをして内臓を取れば臭みはなくなるが、手間がかかって困難。したがって漁の対象にはならず、数が増える。また、磯焼けなどで海藻が減っている。それで貴重になった海藻を食べるニザダイに、悪者のレッテルを貼ったのだろう。キャベツをエサにしてしばらくすると臭みが消えることが実証され、くら寿司で扱われるようになったという。
「駆除」とは、追い払って取り除くという意味だが、銃などで殺すことも含まれる。「害獣」に指定されたイノシシやカモシカなどを駆除する、というのがそれにあたる。人間の都合で翻弄される生きものは実に多いが、ニザダイはまだいいほうかもしれない。たぶん一部のニザダイだと思うが、すしネタになって人間の口に入るのだから。