大方洋二の魚って不思議!

写真を通して魚類の生態や海について考える

夕焼けと水中写真

先日ナショナルジオグラフィックメールマガジンに、スゴイ写真が掲載されていた。同協会の写真コミュニティ「Your Shot」に投稿された写真で、タイトルは「二つの世界」。撮影地はオーストラリアで撮影者はJordan Robins


「二つの世界」Jordan Robins撮影

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夕日と海中のエイがバランスよく画面に納まっている。波立つ海面にもかかわらず、一瞬のタイミングを捉えた素晴らしい作品だ。この写真は夕日が水面上に出ているので夕方とわかるが、水中写真では時間帯を表現するのはそう簡単ではない。








水面の煌めきとサンゴのシルエット
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夕方に潜っているとき、夕日が水面を照らすと金色に煌めき、やがてオレンジ色に変わる。その雰囲気が大好きで、なんとか撮影したいと試行錯誤を重ねている。今でこそデジカメなので確認しながら調整できるが、フィルム時代は勘が頼り。とはいえ勘も外れることが多かった。この写真は、写真集『奄美 生命の鼓動』にも載せたもので、'99年にフィルムで撮影した。






夕日に映える水面下をばく進するグルクマ

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夕日が水面を照らしても、そのときの条件によって海中からの見え方は異なる。波立っていれば光は弱まるし、穏やかであれば光は強まるが、白く飛んでしまう。海中から水面は金色やオレンジ色に見えても、カメラにそのまま映ることはまずない。この写真はデジタルカメラ'08年に撮影。場所は奄美







水面に注ぐ夕日
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これは今年コモド諸島でサンセットダイビングしたときに撮った写真。自分がいる水深、カメラの露出、アングルなどをいろいろ変えて試し、最もこれが夕日のイメージに近かった。だが、状況も刻々と変わるので、どのデータが最適かはわからずじまい。やはり水中写真で夕焼けを表現するのは、生易しいことではない。







うみまーるのカレンダー
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この写真は、座間味島を拠点に活動している「うみまーる企画」のカレンダー('1712月)に使用されているもの。赤く染まった雲がとてもいい。超ワイドレンズを水面近くで真上に向ければ、水がないように映る。その特徴を上手に活かし、カメがまるで夕空を飛んでいるように見せている。水中写真でこれだけうまく夕焼けを表した写真は、おそらく初めてだろう。