ニザダイ科の魚は英語でサージョンフィッシュという。「外科医」という意味なのだが、どうしてだろうか。
ニザダイ。尾柄部の黒い部分にトゲがある
ニザダイ科の尾ビレのつけ根(尾柄部)には鋭いトゲがあり、それを手術に使うメスに例えたのだろう。
テングハギ属のミヤコテングハギ
尾柄部のトゲは2タイプある。1つは固着性のもので、専門用語では骨質板という。もう1つは可動式で、溝の中にたたみ込めるトゲ。ふだんは溝に納まっていて、必要なときに飛び出すらしい。いわばジャックナイフだ。前者のタイプはニザダイ属、テングハギ属の魚が該当する。
上から見たミヤコテングハギ
種によってトゲがあるところは色分けされている場合がある。武器を持っていることをアピールしている、という説もある。ミヤコテングハギを上から見ると、骨質板(トゲ)の鋭さがよくわかる。
ナンヨウハギ。黄色い部分にトゲがある
一方、後者のタイプはクロハギ属やナンヨウハギ属が該当するが、通常トゲは溝に納まっているので、よくわからない。飛び出したところは見た覚えがない。
ナンヨウハギも後者のタイプで、トゲはわかりにくい。ところでこのトゲは、自分の意思で溝から出せるのだろうか。縄張り争いなどを見ると、盛んに尾柄部を相手に向けるのだが…。
飛び出したナンヨウハギのトゲ
あるとき、ナンヨウハギがルリホシスズメダイに追い払われる場面に遭遇した。そのときの写真には、尾ビレを曲げたときにトゲが飛び出していた。どうやら尾ビレを曲げないと飛び出さない仕組みのようだ。