カエルアンコウの以前の名前はイザりウオ。10数年前、日本魚類学会は差別的用語が入った和名をいくつか見直し、今の名になった。カエルアンコウ科は日本に15種分布しているが、数種を除いて識別するのは難しい。体色や斑紋が多様だからだ。そこで種にこだわらずに、真っ赤なものだけを取り上げてみたい。
真っ赤なカエルアンコウは、カムフラージュのためだろうか、赤いカイメンのそばにいることが多い。これは沖縄本島の真栄田岬で撮ったもので、上の写真と同じとき。2mくらい離れたところにいた。
カイメンとそっくりな色をしている(沖縄本島)
リュウキュウイソバナの枝に挟まるよう乗っていたこともある。最初は誰かが乗せたのかと思ったくらい。しかし我々しか潜っていないので、居心地がよいのだろうと思うしかない。
赤いと天敵に見つかりやすそうだが、そうでもない。水深約3m以深になると赤色は水に吸収されて茶色っぽくなり、周囲に溶け込む。深度を増すごとに黒に近づく。撮影のときはライト(ストロボ)を当てているので真っ赤に映るのだ。
とても小さい真っ赤なカエルアンコウを見つけたことがある。幼魚で真っ赤というのはかなり珍しい。大抵オレンジか黄色なのだ。
全長約3cmの幼魚(奄美)
真っ赤なカエルアンコウは日本で撮影したものばかりで、海外にはいないと思い込んでいた。ところが、マレーシアのポンポン島で撮ったものが真っ赤だった。ここでは薄紫のカイメンのそばに同色のカエルアンコウが多かったので、真っ赤な個体の印象が薄かったようだ。それはとにかく、海外では真っ赤はものは極端に少ない。
海外では珍しい真っ赤な個体(ポンポン島)