大方洋二の魚って不思議!

写真を通して魚類の生態や海について考える

キンギョハナダイの地域変異

ハタ科のキンギョハナダイは、房総半島以南の西部太平洋、インド洋、紅海に広く分布している。あまりにも普通種すぎて、よほど大群でなければカメラを向けない。キンギョハナダイのメスは明るいオレンジ色で、どこの海でも同じような体色だ。

キンギョハナダイのメス(柏島)。下はパプアニューギニア(左)と紅海

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ところが、オスは少し違う。オスを見ただけでどの海域のものなのか、大体見当がつく。ただ、オスは感情によって体色が変化するので、平常心のときでなければならないが。オスの特徴は、胸ビレの先端に赤紫の斑紋があり、背ビレの前部が1本糸状に伸びる。

日本のキンギョハナダイのオス(奄美

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日本以外の太平洋のオスは、体全体が紫っぽくて、背ビレ付け根付近が黄色い。

キンギョハナダイのオス(パプアニューギニア

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こちらはパラオのオスで、パプアニューギニアとほぼ同じ。オーストラリアのグレートバリアリーフもほとんど変わらない。日本も同じ太平洋なのにどうして違うのか不思議だが、日本は特殊な環境だからとしかいいようがなく、詳しい理由はわからない。

パラオのオス

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インド洋や紅海に生息するキンギョハナダイのオスは、体の中央付近が黄色っぽい。背ビレ付け根は特に黄色ではない。

日本のオスは、メスにアピールする際かなり白くなるが、海外のオスはほとんど変わらないのも不思議だ。

紅海(左)とプーケット(インド洋)のオス

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