大方洋二の魚って不思議!

写真を通して魚類の生態や海について考える

アカネハナゴイについて

アカネハナゴイはハタ科ナガハナダイ属で、全長約8cmになる。口先が尖っていて、オスは背ビレが赤いことと腹ビレが長いことが特徴。メスはオスよりやや小さく、背ビレや腹ビレにオスの特徴はない。主にサンゴ礁に生息し、キンギョハナダイと混泳することもよくある。1955年に新種記載された。

アカネハナゴイのオス(ラジャアンパット)

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1970年代後半石垣島鈴木克美氏によって発見され、日本初記録としてアカネハナゴイと命名された。体色が夕焼けのようだったので付けた、と鈴木氏の著書に記されている。現在の分布は久米島以南の中・西部太平洋、インド洋・クリスマス島となっている。日本では宮古島石垣島西表島に多いが、久米島そばの慶良間諸島にはなぜか分布しない。

中央がアカネハナゴイのオスで周りはメス(石垣島

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ところが、慶良間諸島座間味島のあるポイントには、80年代後半までアカネハナゴイが群れていた。しかし台風によってそのポイントの岩が崩れてしまった後はいなくなってしまい、現在も知る限り戻っていない。環境変化には弱い魚らしい。

アカネハナゴイ。白っぽいのはケラマハナダイ(1980年、座間味島

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オスは背ビレを広げたり、腹ビレを伸ばしたりをよくする。メスへのアピールと縄張りの主張のようだ。1尾のオスが複数のメスを支配するハレムを形成するといわれているが、密集するとわからなくなる。また、オス同士が密集することもあるので、ハナダイの世界は未知の部分がいまだにある。

サンゴ礁に群れるアカネハナゴイ(西表島

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昔、インド洋のモルディブでアカネハナゴイを撮った。しかしよく調べたら別種とわかった。確かにアカネハナゴイよりも尾ビレが赤い。英名でインディアンフレームバスレットという。インドネシアのコモド諸島はインド洋と接していて、アカネハナゴイとインディアンフレーム…の中間のようなハナゴイを見かける。もしかしたら交雑種だろうか。

コモドのアカネハナゴイと枠内はインディアンフレーム…

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