チョウチョウウオ科のハタタテダイは20cmほどになり、青森県以南の太平洋、インド洋に分布している。背ビレの一部が長く伸びているのが特徴で、これが和名の由来。近縁種にムレハタタテダイがいるが、日本では1980年ごろまでハタタテダイと混同されていた。
岩陰で休むハタタテダイのペア(コモド)
ハタタテダイが2種に分かれ、日本初記録のほうはムレハタタテダイと名付けられた。両種の生態的な違いはあるものの、外見ではわかりにくい。ハタタテダイのエサは底生小動物や藻類。したがって、海底近くを行動する。単独かペア、数尾でいることが多く、大きな群れは作らない。
エサを探すハタタテダイ(バリ)
ハタタテダイは幼魚期にクリーニングを行う習性がある。個体によっては成魚になってもクリーニングを行うようだ。
カワハギをクリーニングする幼魚(初島)
バリではハタタテダイの成魚が、マンボウをクリーニングする姿を見ることができる。ハタタテダイの生息場所を覚えていてやってくるのだ。
マンボウをクリーニングする成魚(バリ)
ハタタテダイは小動物をついばんで食べる関係で、吻(口)がやや尖っている。また、黒帯が尻ビレにかかる部分が、先端よりやや後ろになる。一方ムレハタタテダイは、黒帯が尻ビレの先端にかかる、という違いがある。
ハタタテダイのペア(ニューカレドニア)