幼魚と成魚の体色・斑紋が異なる場合がよくある。キンチャクダイ科やベラ科、スズメダイ科に多い。ベラ科タキベラ属のスミツキベラも極端だ。幼魚は黒い体に白の斑点がある。岩陰や物陰など、暗いところにいる。
約3cmのスミツキベラの幼魚(座間味)
成長すると、同種とは思えないほど変身する。成魚の大きさは約20cmで、主に南西諸島以南の太平洋、インド洋に分布するが、生息数はそう多くない。胸ビレと背ビレ、尻ビレにある黒紋が和名の由来と思われる。本種には撮影時の思い出がある。「クリーニング」と「産卵」だ。
まるで別種のような成魚(座間味)
少し成長すると黒い体色が茶色に変わってくる。行動範囲も広がり、明るいところにも出てくるようになる。
約7cmの幼魚(フィジー)
幼魚はクリーニングを行う習性があるらしいが、見たことがなかった。パラオで初めてクリーニングしているところに遭遇したが、ホンソメワケベラがやって来た。ホンソメにつつかれたら霞んでしまう。急いで撮ったのがこれ。クリーニングはあまり熱心ではないようで、これが最初で最後になってしまった。
サザナミトサカハギをクリーニング(パラオ)
繁殖期は初夏~晩夏で、サンゴ礁と砂地の境界付近が産卵場所。オスとメスの外見は同じだが、オスのほうがやや大きい。オスが中層で体を震わせてアピールすると、メスはゆっくりとオスのそばに行く。そのまま上昇して放卵・放精するのだが、接近するとやめてしまうケースが多い。
秋でも水温が高いと産卵する。オスの求愛に応えたメスが並んで上昇して放卵・放精したのだが、直後に急旋回して戻るため、尾ビレしか写ってなかった。産卵シーンは難しい。
産卵前のペア(奄美)