キンチャクダイ科アブラヤッコ属のチャイロヤッコは全長約7cmで、和歌山県以南の西部太平洋、インド洋に分布している。同属は臆病で動きが素早いことが特徴。そのうえ本種は生息数が少ないので、なおのこと撮影するのは困難といえる。体の色は青みがかった黒で、フィリピンスズメダイなどと間違えやすい。
同科の中で最も目立たないチャイロヤッコ(座間味)
同属の特徴がもう一つある。背ビレ後端と尻ビレ後端両方に縞模様があるのがオスで、尻ビレだけならメスになる。
チャイロヤッコのオス(ニューカレドニア)
和歌山県が北限とされているが、伊豆でも見られる場合がある。水温が高めになったので、過ごしやすくなったのだろう。富戸で出会ったチャイロヤッコは、幼魚ではなく成魚だった。
北限のチャイロヤッコのメス(富戸)
アブラヤッコ属は、1尾のオスがハレムを持ち、初夏から秋にかけて産卵することが知られている。チャイロヤッコも同様と考えられているが、出会う機会が少ないので、確認されていない。今まで出会ったときもずべて単独だった。まずは複数で行動しているところを見ないと始まらない。
まだ未知の部分が多いチャイロヤッコ(奄美)