大方洋二の魚って不思議!

写真を通して魚類の生態や海について考える

最も目立たないキンチャクダイ

キンチャクダイ科アブラヤッコ属のチャイロヤッコは全長約7cmで、和歌山県以南の西部太平洋、インド洋に分布している。同属は臆病で動きが素早いことが特徴。そのうえ本種は生息数が少ないので、なおのこと撮影するのは困難といえる。体の色は青みがかった黒で、フィリピンスズメダイなどと間違えやすい。

同科の中で最も目立たないチャイロヤッコ(座間味)

f:id:youjiuo:20210818104402j:plain

 

同属の特徴がもう一つある。背ビレ後端と尻ビレ後端両方に縞模様があるのがオスで、尻ビレだけならメスになる。

チャイロヤッコのオス(ニューカレドニア

f:id:youjiuo:20210818104509j:plain

 

和歌山県が北限とされているが、伊豆でも見られる場合がある。水温が高めになったので、過ごしやすくなったのだろう。富戸で出会ったチャイロヤッコは、幼魚ではなく成魚だった。

北限のチャイロヤッコのメス(富戸)

f:id:youjiuo:20210818104606j:plain

 

アブラヤッコ属は、1尾のオスがハレムを持ち、初夏から秋にかけて産卵することが知られている。チャイロヤッコも同様と考えられているが、出会う機会が少ないので、確認されていない。今まで出会ったときもずべて単独だった。まずは複数で行動しているところを見ないと始まらない。

まだ未知の部分が多いチャイロヤッコ(奄美

f:id:youjiuo:20210818104701j:plain