大方洋二の魚って不思議!

写真を通して魚類の生態や海について考える

ハタタテとムレハタタテ(2)

ムレハタタテダイは千葉県以南の太平洋、インド洋に分布している。その名のとおり群れる習性がある。主食は豊富にあるプランクトンなので、群れてもエサを巡っての争いにならない。プランクトン食なので、吻(口)もハタタテダイほど尖っていない。また、尻ビレに到達する黒帯の端が、尻ビレ先端にかかる。

ムレハタタテダイ(コモド)

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ムレハタタテダイは大きく移動するタイプと、ある範囲に居つくタイプがあるようだ。伊豆半島には未成魚が現れることがあるが、そのうちにいなくなってしまう。奄美でも数日いてそのうち姿を見せなくなる。これらは大きく移動しているのだろう。

ムレハタタテダイの未成魚(奄美

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一方、モルディブなどでは島の周りに居ついている。潮の流れによって多少の移動はあるものの、大抵同じところに群れていて、夢中でプランクトンを食べている。ただ、ロウニンアジやイソマグロ、カスミアジなどの天敵がよく出現するので、そのときは一斉に海底へ向かって難を逃れる

一斉に海底に向かうムレハタタテダイモルディブ

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コモド諸島では隠れ根の周辺に居ついていて、潮の流れの変化で移動している。天敵が現れていないにもかかわらず、海底に集まることがあるが、ホンソメワケベラなどにクリーニングを受けたいからのようだ。

海底に来たムレハタタテダイ(コモド)

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ムレハタタテダイプランクトン食なので、クリーニングは行わない。だが、ムレハタタテダイにいろいろな魚が集まってくることがある。以前にハタタテダイからクリーニングを受けた経験があるのだろう。同じ模様なので、近寄って来たのだ。もちろん何も起こらない。当のムレハタタテダイは何でだろう?と思っているに違いない。

キタマクラシラコダイが近寄ってくる(富戸)

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