アジ科のシマアジは、青森県以南の熱帯海域を除く全世界に分布している。ただし、局所的らしい。体側に黄色の縦帯が1本あるのが特徴。大きさは約80cmになるが、通常出会うのは30cm前後のものが多い。大型のシマアジは、伊豆諸島から小笠原の潮流が速いところを回遊しているらしい。「縞鰺」と思えるが、『日本魚類館』(小学館)の解説に「…その名の通り、島嶼に多い傾向…」とあるので、「島鰺」が正しいようだ。
小魚を追うシマアジの若魚(座間味)
慶良間諸島や奄美大島では、20cm前後のものが砂地に現れることが多い。砂地に来る理由は、砂の中に潜んでいる甲殻類や底生生物を食べるためで、回遊魚としては珍しい。
砂地に現れたシマアジの若魚(座間味)
昔、ダイビング誌のフォトコンで、シマアジが砂地で捕食している写真が入賞。審査員のひとりの魚類学者が「珍しい生態」とコメントしていた。実際はよくあることなのだが。
砂の中からエサを食べる(奄美)
シマアジは高級魚で、昔からよく研究されている。養殖も盛んで、70年代前半から行われている。特に70年代後半に大分マリーンパレス(現うみたまご)で水温刺激により産卵誘発させる養殖技術が開発され、大いに進歩した。現在市場のシマアジの多くは、養殖ものらしい。
海底にモヨウフグが休んでいるのを見つけた。近寄ると、約5cmのシマアジの幼魚が数尾付いていた。天敵をあざむくことができるので、安心なのだろう。しばらくしてモヨウフグが泳ぎ出すと、一緒に付いて行った。ある程度成長するまでは、離れずに共に行動する。