「高級魚」という言葉がある。高級とは、品質・等級が優れていることなので、漁獲が少量で値が張る美味な魚を高級魚というのだろう。諸事情で替わることもあるに違いない。一般的にいわれている高級魚を、ダイバーの視点で考えてみたい。
ハタ類は総じて美味で、特にクエは有名。しかしダイビングではなかなか出会えない。そこでマハタの登場。マハタは漁獲量が少ないため、隠れた高級魚。近年、味が良いということで、愛媛県では養殖が行われている。
回遊魚ではシマアジやヒラマサが高級魚とされている。漁獲量もそれほど多くないからだろう。養殖技術の向上により、シマアジもずいぶん前から養殖されていて、市場に出ているシマアジは養殖ものだそうだ。
マダイも養殖が行われているが、味、姿、色などどれをとっても最高で、祝いごとには欠かせない。昔から縁起物として親しまれ、「腐っても鯛」といわれるほどで、不動の高級魚。
昔から親しまれているマダイ(富戸)
沖縄ではハタ科のスジアラが高級魚とされている。沖縄での呼び名はアカジン。赤っぽい体に水色の斑点がある。だが、体色は感情によりかなり変化する。追い込み網やモリで突いて漁獲するため、多くは捕れない。
沖縄の高級魚アカジンことスジアラ(座間味)
マトウダイの分布はオーストラリア、ニュージーランド、南アフリカ、東大西洋に広く分散している。生息場所はやや深い砂泥底や岩場。底引き網で漁獲されるが、群れないので量は限られる。意外と思うだろうが、刺身、煮物、鍋料理の他、フランス料理の食材としても人気がある、知られざる高級魚だ。