イットウダイ科のクロオビマツカサは、八丈島および和歌山県以南の太平洋、インド洋に分布している。岩礁やサンゴ礁の陰などの暗いところに生息している場合が多い。全長は約20cmで、エラブタ部分に褐色の細長い帯があり、これが和名の由来と思われる。
目の後方の暗色模様が特徴のクロオビマツカサ(座間味)
同科のアカマツカサとよく似ていることで混同されることがあるが、体色、ウロコの大きさ、暗色の帯の形など違いがある。本種は体色がやや明るく、ウロコは細かい。暗色の帯は本種が長方形なのに対し、アカマツカサのそれは上部が尖っている。
右がアカマツカサ、左がクロオビマツカサ(座間味)
体色については、ストロボなどの照明の角度および感情による体色変化、あるいは海域による変異などがある。特に海外に生息する本種は赤味が少ない傾向がある。
赤味が少ないクロオビマツカサ(グアム)
日本では岩陰やサンゴの下、洞窟などの暗いところに生息している。夜行性なので当然のことなのだろう。
日本では洞窟など暗いところに生息する(奄美)
ところが、インド洋のモーリシャスに行った際、サンゴの上で群れているクロオビマツカサがいて驚いた。夜行性ということには変わりないと思うのだが、日本のものと性格が異なるのはいったいどうしてなのだろうか。
海外では明るいところを好む(モーリシャス)